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『クイーン』 [映画(伝記・実話)]


先日行われたアカデミー賞で、ヘレン・ミレンが主演女優賞を受賞。アカデミー賞の前哨戦ゴールデングローブ賞に本年度最多でノミネートされた他、各映画祭で多くの賞を受賞し、ダイアナ急逝に揺れる英国王室というスキャンダラスなテーマを扱いながらも、高い評価を得た話題作。監督は『ヘンダーソン夫人の贈り物』のベテラン、スティーブン・フリアーズ。

1997年8月31日。英国王室に、ダイアナ元皇太子妃がパリで急逝のニュースが入る。
世紀の結婚から16年後。チャールズ皇太子との別れて新しい恋人と出会ったダイアナは、王室を離れた後も執拗にパパラッチに追いかけられ、ついに最悪の結果となってしまったのである。
それまでダイアナと女王の不仲説がたびたび報道されていたため、事件直後の英国国民は、エリザベス女王に厳しい視線を向けた。民間人になったダイアナに出来ることは何もない―沈黙を続ける女王へのバッシングは日々激しくなり、ついに一人の男が民衆と王室の橋渡しに立ち上がった。それが、就任後間もない若き首相、トニー・ブレアだった。

ダイアナが亡くなって僅か10年。リアルタイムで当時のニュースを聞いた人たちには、興味をそそられること必至の映画だ。まず、今も現役である実在の人物ばかりが登場する映画・・しかも王室が舞台、というだけで、日本では考えられないことだ。

王室とダイアナの不仲は本当らしく、特にフィリップ殿下は露骨にダイアナを罵る台詞が多い。女王は彼女を嫌っていたというより、頭痛の種だった。伝統やしきたりを守るべき立場の女王と、心のままに動く民間出身のダイアナは反りが合わなかった。威厳を保ち続ける女王に対し、息子のチャールズは国民の批判が自分に向くことを恐れ、”国民の味方”であるブレア首相に擦り寄る。イギリス王室はこの映画を観たのだろうか。

映画の中で登場する鹿は、物語の重要なポイントとなっている。森の中でふと一人になった女王が目の前の鹿を見てその美しさに心を奪われる場面は、人間・エリザベスの本音が最もよく表れている。女王は一度たりとも涙を見せないが、この鹿が死んだときに唯一涙を見せる。私には、鹿がダイアナを象徴しているように感じられてならない。

そして、もう一人の主役でもあるブレア首相。女王を尊敬しながらも彼女を説得し、国民からの批判を避けることに成功した彼は、このときの機敏な行動と、ダイアナを「国民のプリンセス」と呼んだことが国民からの圧倒低支持を得た。

映像的には、TVを観ていたり電話をしたりなどの”静”のシーンが多いものの、加熱するマスコミをバックに臨場感溢れる展開だ(それにしても、ブレア首相のそっくりぶりは笑える)。
そして、1にも二にも、大切なのは「国民に支持される」「国民に愛される」こと。それは、権力者にとっては命と同じほどに価値がある。色々な意味で興味が尽きない映画であることに間違いない。個人的には『ヘンダーソン夫人の贈り物』より出来がいいと思った。

キーワード;
パパラッチ、TV、狩り、新聞、鹿、バッキンガム宮殿、半旗、声明

THE QUEEN
2006年イギリス・フランス・イタリア
監督:スティーブン・フリアーズ
出演:へレン・ミレン、マイケル・シーン、ジェイムズ・クロムウェル他

4月14日より日比谷シャンテシネ、21日より新宿武蔵野館、シネ・リーブル池袋にて公開


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『蒼き狼 地果て海尽きるまで』 [映画(伝記・実話)]

角川春樹製作が構想27年をかけた念願のプロジェクトを実現。この春一番の邦画話題作であることは間違いない。森村誠一原作、主演に反町隆史を迎え、モンゴルの英雄チンギス・ハーンの知られざる生涯を描く超大作。

モンゴル部族の長の第一子として生まれたテムジン(後のチンギス・ハーン)は、14歳で対立する部族に父親を殺される。長を失った部下たちはテムジンを、彼らの子孫”蒼き狼”の血を受け継いでなどいない、と言い捨て去っていく。確かに、テムジンの母親は敵から略奪した花嫁だった。しかし、不屈の魂を持つテムジンは成長してボルテという妻を迎え、リーダーとしてのカリスマ性も増していった。彼に心酔する若者たちと共に闘い、勢力を拡大していった矢先、ボルテが敵に誘拐されてしまう。10ヵ月後にようやく救出したものの、彼女は身篭っていた。母と同じ運命を辿るボルテを見たテムジンは・・・。

相当お金をかけた映画なので、すべてが豪華絢爛。同じような場面が続く中盤が少々退屈だが、戦闘シーンは勿論のこと、モンゴル部族の衣装や住居など見どころは多い。ただ、サムライ顔の反町隆史が、どうしてもチンギス・ハーンってイメージじゃない。なんで日本人がこの映画を作ったのだろう?(勿論、台詞は日本語)我侭言うようだが、朝青龍みたいな顔の人がチンギス・ハーンじゃないと気分が乗らない・・(涙)。

ストーリーは、テムジンの出生や、同じ宿命を背負って生まれた息子への愛と憎しみ、親友との友情と対立、妻への愛など、様々な視点でテムジンの人物像を描いている。同時に、当時戦利品として”モノ扱い”されていた女たちの物語でもあり、隠れた主役は女性たちだとも言える。
キャストは反町隆史がひたすら目立つばかりで、他の役者たちに力がない。息子を演じる松山ケンイチは短い出演シーンながらも鮮烈な印象を残しているが、親友ジャムカはもう少し名のある俳優がやるべきだったのではと感じるし、松方弘樹や津川雅彦ら大御所たちが意外に地味。ボルテ役の菊川怜や母親の若村麻由美、テムジンの第二夫人を演じる韓国の新人女優Araら女優陣は(恐らくストーリーの関係もあると思うが)存在感があった。
個人的には、モンゴルの食べ物などももっと映して欲しかった(笑)。
監督は澤井信一郎。

キーワード;
メルキト、花嫁、略奪、父、兄弟、戦利品、タタール、親友、母、よそ者

2007年日本
監督:澤井信一郎
製作総指揮:角川春樹
出演:反町隆史、菊川怜、若村麻由美、袴田吉彦、松山ケンイチ、Ara(新人)、野村佑人、平山祐介、保坂尚希、榎木孝明、松方弘樹、津川雅彦他

3月3日より全国公開

©2007「蒼き狼」製作委員会

原作購入はこちら↓

地果て海尽きるまで―小説チンギス汗〈上〉


地果て海尽きるまで―小説チンギス汗〈下〉


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『長州ファイブ』 [映画(伝記・実話)]

私は日本史に疎いので・・勉強になる映画だった。
幕末から明治に変わる、まさに日本史の要の時代。近代国家を目指す長州藩の5人の若者が、造船や造幣、鉄道の技術を学ぶため国禁を犯してまで英国へ渡る。その5人とは、将来日本を率いることになる、若き日の伊藤博文、井上馨、井上勝、遠藤謹助、山尾庸三であった。

1863年。ペリー来航以来、日本は外国を打ち払うことを主張する尊王攘夷の思想が強まっていた。そんな中、新しい時代を作らねばならぬという使命を抱えた長州藩の5人の若者たちが、イギリスに密航することを決意する。見つかれば死罪。それでも彼らは”生きたる機械”となるべく、ロンドンへ旅立つ。そこで彼らが目にしたものは全て日本との落差を感じる驚くべきことばかり。貪るように英国の技術を学ぶ5人だったが、やがて長州藩の米蘭仏艦隊攻撃と薩摩藩の英国艦隊攻撃の報復のため、欧米諸国が日本本土への上陸を開始。動揺した伊藤と志道(井上馨)は帰国してしまう。残された3人は、より一層それぞれの決意を固めるのであった・・。

当時、この5人の年齢は全員20代。今の20代に比べて何と大人であることか。若さはそれだけで武器になるということを証明するような物語でもある。実際彼らが受けたのは、驚愕だけでなく差別も大きかったことと思うが、これに関してはまだまだ”甘い”描き方。初めて見る外国で、言葉の習得の苦労(映画ではいとも簡単に習得しているが)や文化の違いへの戸惑いは、今では想像がつかないほど大きかったに違いない。それから、欧米の日本上陸を知る場面から後は5人がバラバラになってしまうため、それぞれを追えていないのが残念。特に後半は山尾庸三一人の話になってしまい、途中帰国した伊藤と志道のその後など、知りたいことが全て省かれている。とはいえ、山尾のエピソードだけでもかなり心打たれることは確か。彼は単身グラスゴーへ渡り、造船技術を学びながら、エミリーという聾唖の女性と親しくなり手話を学ぶ。貧困生活を送るエミリーが教えてくれたのは、心の豊かさや思いやり。それは、工業の技術よりはるかに大切なものである。ここが、この映画の最大の長所。単なる伝記映画でなく、普遍的なテーマが織り込まれている。逆に考えれば、無理に大作にせず、テーマを絞り込んで小さめにまとめてあるのが良い作品とも言えるかもしれない。

山尾を演じる松田龍平以外はあまり知らない役者さんたち。新人を起用するのもいいけど、もうあと何人かは存在感の大きい若手ベテランを出演させても良かったのでは。監督は『地雷を踏んだらサヨウナラ』の五十嵐匠。

キーワード;吉田松陰、長州藩、黒船、剣道、イギリス、紅茶、鉄道、造幣、造船、手話、蛍の光

公式サイト
http://www.chosyufive-movie.com/

2006年日本
監督:五十嵐匠
出演:松田龍平、山下徹大、北村有起哉、三浦アキフミ、前田倫良他

正月第二弾公開


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『ブラザーズ・オブ・ザ・ヘッド』 [映画(伝記・実話)]

1975年、イギリスのロックシーンに彗星の如く現れた結合体双生児のロックバンド”ザ・バンバン”。
”ザ・バンバン”は実在したが、彼らを演じるのは一卵性双生児のトレッダウェイ兄弟で、構成はドキュメンタリー風。つまり、本作はドキュメンタリー風に撮られた”物語”で、極めてオリジナリル性の高い映画と言える。

出産と同時に亡くなった母に代わり、姉に育てられた結合体双生児、トムとバリー。父は18歳になった彼らを興業主に売り飛ばし、彼らは音楽の訓練を始める。やがてバンドが結成され、ザ・バンバンという名でデビュー。兄弟を取材した女性記者ローラも、トムと恋に落ちる。しかし、その頃からトムとバリーの間に亀裂が入り始める。傑作の誕生と引き換えに酒とドラッグに溺れていくトムとバリー。コンサートでも暴力沙汰が頻発する。そしてついに悲劇が・・。

倒錯的で退廃的な映像、トムとバリーの相反する性格、当時のロックシーンを飾る数々のナンバー。儚さを感じさせる印象的なエピソードが綴られ、ラストの悲劇へと導いていく。劇中にはイギリスの名監督ケン・ラッセルも本人役で登場し、兄弟を追った架空の映画を製作していることになっている。

なかなか興味深い内容である。ただでさえ破滅的なロックスターという存在に、結合体双生児とは・・サディスティック、マゾヒスティックな危なげな香りがする。彼らは見世物ではないが、現実には見世物だった。でも、それでよかった。彼らには誇りがあった(昔から異形の人々は、役者、芸人という自らの職業に誇りを持っていた)。とりわけ、バリーは心優しいトムと違って反抗的で、根っからのロック精神の持ち主。その攻撃的な性格の裏に、彼の頭に出来た腫瘍=胎児が原因と見る設定も面白い(真偽は不明)。

ただ、これだけ刺激的で興奮する要素を集めた作品だからこそ、もっと知りたかったという物足りなさも残る。いっそ、ここ数年新作を発表していないケン・ラッセル(好きでコミュまで作った私)が、この兄弟の伝記映画を撮ったら『トミー』の番外編のようで物凄く面白いのではないか。もっと観たい、もっと知りたい。そんな気持ちが沸き起こる稀有な映画だった。

Brothers Of The Head
2006年イギリス
監督:キース・フルトン&ルイス・ぺぺ
原作:ブライアン・オールディス
出演:ルーク・トレッダウェイ、ハリー・トレッダウェイ、ブライアン・ディック、ショーン・ハリス、ジョナサン・プライス他

2007年新春、渋谷シネマライズにて公開


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『マリー・アントワネット』 [映画(伝記・実話)]

『ロスト・イン・トランスレーション』でアカデミー賞を受賞したソフィア・コッポラの待たれた新作。『ヴァージン・スーサイズ』で組んだキルスティン・ダンストを再び起用、今回彼女が演じるのは、悪名高く、同時に最も愛された18世紀のセレブレティ、マリー・アントワネット。フランス政府の全面協力を得て撮影したヴェルサイユ宮殿も見どころの超話題作。

オーストリアの皇女アントワーヌは14歳で1つ年上のフランス王太子ルイのもとに嫁ぎ、マリー・アントワネットとしてヴェルサイユでの生活を始める。朝から晩まで常に側近や召使たちに囲まれ、まるで監視されているかのよう。王族や貴族たちが話すことと言えば、陰口や噂話ばかり。おまけに、国王類15世は愛人のデュ・バリー夫人と一目もはばからずいちゃつき、宮廷の品位を乱す始末。そんな中、早くも世継ぎを期待する声が高まり、マリーは子作りの義務感に苛まれる。夫のルイは同じベッドに寝ていながらマリーには指一本触れようとしない。寂しさを紛らわすかのように、マリーはギャンブルやショッピングやお菓子に熱中、お忍びで出かけた仮面舞踏会で出会ったフェルゼン伯爵とも愛を交わす仲になっていく。やがてルイ15世が崩御しマリーはわずか18歳で王妃となるが、彼女の享楽的生活はとどまるところを知らなかった。ようやく子供が生まれたマリーはギャンブルをやめて変わり始めるが、財政難にあえぐフランスで国民の怒りは贅沢三昧を続けるマリーに向けられていた・・・。

マリーに対する悪評の殆どはデマだったとの研究結果があるが、ソフィア・コッポラは、ありきたりの歴史大作にはせず、プライバシーがなく一挙一動に注目されるセレブ故の代償と、寂しさ故に享楽的生活に陥る、まるで現代女性にも通じる姿をマリーの目線で描いている。そして、豪華な衣装や小道具、溢れるように登場するスイーツに反映されたポップな色使い。クラシックに徹せず、積極的にポップ・ミュージックを取り入れた型破りな演出。まさに、ファンなら「待ってました」と身を乗り出したくなる場面の連続だ。物語は、バスティーユ牢獄の襲撃でヴェルサイユ宮殿を脱出する場面で終わってしまう。彼女の第二の人生はここから始まるので、できればギロチン刑の最期まで見たい!と、ついつい考えてしまうが、ソフィアが描きたかったのは、彼女の孤独。そのテーマは充分に伝わってくる。欲を言えば、アーシア・アルジェント演じるデュ・バリー夫人とマリーのバトルをもうちょっと見たかった気も。キルスティン・ダンストは決して美人ではないのに、動いているところを見るととってもチャーミングで、他の女優にはない独特の魅力がある。この役も彼女に似合っていた。

画像は、試写状と同封されていたマリー風扇子。

キーワード;政略結婚、ヴェルサイユ、世継ぎ、犬、お菓子、靴、ギャンブル、仮面舞踏会、ガーデニング、バスティーユ

Marie Antoinette
2006年アメリカ・フランス・日本
監督:ソフィア・コッポラ
出演:キルスティン・ダンスト、ジェイソン・シュワルツマン、アーシア・アルジェント、マリアンヌ・フェイスフル他

公式サイト(英語)
可愛すぎ!
http://www.sonypictures.com/movies/marieantoinette/

2007年正月第二弾公開予定

サントラと関連本はこちら↓

マリー・アントワネット


マリー・アントワネット〈上〉


マリー・アントワネット〈下〉


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『敬愛なるベートーヴェン』 [映画(伝記・実話)]

今年は生誕250年のアマ様(モーツァルト)に話題が集中しがちでしたが、この人も忘れないで!同じ作曲家でもなんてイメージが違うんでしょう。アマ様は明るくて親しみやすいのにベートーヴェンは近寄りがたい・・何か怒ってそう。でも、そんな彼がどんな人だったのか興味ある。そんな人には是非おススメしたいこの映画。

監督は、『太陽と月に背いて』のアニエスカ・ホランド。女性ならではの視点で、晩年を迎えたベートーヴェンと若き女性作曲家の深い人間愛を「第九」執筆時という限定された舞台で描く。そして、気になるベートーヴェン役はエド・ハリス。聞いただけではイメージが違う気がするが、あまりの変身ぶりに彼だと分からないほど。しかも、役のために体重を増やしたそうで、その激太りに絶句・・エドファンはショックかも。彼を支える女性作曲家はアンナに注目の若手女優、ダイアン・クルーガーが可憐に演じている。

1824年のウィーン。第九の初演を4日後に控えたベートーヴェンのアトリエに若い女性が突然やってくる。作曲家志望と言う彼女、アンナは、写譜師として彼のもとに派遣されたのだ。女性の写譜師が来たことに怒るベートーヴェンだったが、アンナの中に眠る才能を認め、次第に二人の間で師弟関係を超えた愛情が育まれていく。そして第九初演の日、耳の不自由さで満足に指揮ができない不安と恐怖に駆られたベートーヴェンは、アンナにテンポの合図を送る役目を任せる。ヴァイオリン奏者たちの後ろにうずくまるアンナ。指揮棒を振るベートーヴェンとアンナは、互いに視線を送りあいながら、二人で第九の初演を成功させるのだった・・。

アンナは架空の人物だが、今でさえ女性作曲家というのは少なく、この時代にこうした女性がいたという設定が。ある意味普遍的であり興味深い。史実では、第九の初演ではやはり舞台の袖でベートーヴェンに合図を送った助手が居たことも分かっている。私も身近に作曲家が居るので、作曲家を主人公にした映画を観ると、性格的な共通点や作品が生まれるまでの苦悩などよく理解できる。これだけ意固地で下品で、そしてときに子供のような表情を見せるベートーヴェンを支えられたのは、やはりアンナが女性であるからだろう(女性だろうが誰だろうが手に負えない作曲家も居るが・・)。第九初演のシーンは12分もの時間をとっており、この映画最大の見せ場である。ダイナミックで官能的な二人三脚の指揮は、数ある作曲家映画の中でも強い印象を残すことは間違いない。また、ベートーヴェンが溺愛した甥のカールの心の葛藤、アンナと恋人の関係など、盛り沢山のわりには丁寧に描けていて、ところどころに挿入されるベートーヴェンの名曲と共に見応えのある作品となっている。あえて難を挙げるなら、邦題がもうひとつ。

キーワード;
写譜、初演、合唱、指揮、修道院、橋、コンサート、大公、甥

Copying Beethoven
2006年イギリス、ハンガリー
監督:アニエスカ・ホランド
出演:エド・ハリス、ダイアン・クルーガー、マシュー・グード、ジョー・アンダーソン他

12月、日比谷シャンテシネ他にて公開

参考CD↓

ベートーヴェン:交響曲第9番


ベートーヴェン:交響曲第9番


ベートーヴェン:交響曲第9番《合唱つき》[バイロイトの第9/第2世代復刻]


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『ヘンダーソン夫人の贈り物』 [映画(伝記・実話)]


これは実話に基づく物語。1937年のロンドンで、女性のヌードレビューを見せるという斬新なステージを提案したヘンダーソン夫人と、彼女と衝突しながらも深い友情を育んでいく劇場支配人ヴァンダムの素敵な関係を描いたエンタテインメントムービーだ。ミュージカル映画ではないが、ショーのシーンが多いので、極めてミュージカルに近い印象を覚える。ヘンダーソン夫人を演じたイギリスが誇る名女優ジュディ・デンチは、本作で2005年度のアカデミー賞主演女優賞にノミネートされ、また、劇場支配人役のボブ・ホスキンスは同年度のゴールデングローブ賞助演男優賞にノミネート、更にサンディ・パウエルがデザインするゴージャスな衣装もアカデミー賞衣装デザイン賞にノミネートされた。

莫大な遺産を受け継いで未亡人になったローラ・ヘンダーソン夫人は、ソーホーの中心にあったウィンドミル劇場を買い取った。しかし、劇場支配人のユダヤ人ヴァンダムとはことごとく意見がすれ違い、衝突ばかり。いよいよ劇場がオープンしたはいいものの、ライバルに真似をされて興収は落ち目に。そこでヘンダーソン夫人が提案したのは、女性のヌードショー。ヴァンダムはロンドン検閲の厳しさを懸念するが、絵画としてのヌードは許されているのだから、舞台上でも絵画と同様に一歩も動かないことを条件に話がまとまる。かくして、ヌードレビューショーはたちまち話題を呼び、センセーショナルなヒットを放つ。しかし、ナチス・ドイツ軍による空爆が始まり、政府はウィンドミル劇場の閉館を命じる・・。

ジュディ・デンチとボブ・ホスキンスの息がピッタリ合っていて、さすがと思わせる。人生残り少ない年齢の二人の関係は、若い世代にはあり得ない、友情や恋愛を超えた特別な絆となっていく。悪態をつきながらも、自由奔放で真っ直ぐなヘンダーソン夫人を尊敬しているヴァンダム。ワンマン(彼女から見ると)なヴァンダムに不満たっぷりのはずなのに、奥さんを紹介されて何故か頭に来るヘンダーソン夫人。年老いてからこんな巡り会いができるなんて幸せなことだ。ヘンダーソン夫人はヴァンダムの怒りを買って一時劇所に出入り禁止になるが、めげずに中国人に成りすましたり、クマの気ぐるみを被って変装して忍び込んだりする(実際そうだったらしい)。そんな彼女の率直な生き方は、世代を超えて女性たちの心を惹きつけるに違いない。映画では、他に花形スターのモーリーンも登場するが、ヴァンダムも含めヘンダーソン夫人以外の人物たちの背景があまり描かれていないのが少々物足りない。特にモーリーンは後半で、彼女にとっての一大事と向かい合うことになるが、このあたりのエピソードが薄い。戦争が絡んでくるのにも関わらず、あっさりとまとまっているのが良くもあり、悪くもある。とは言っても、あの華やかなヌードレビューシーンを観たら、それだけで全部許してしまえる魅力に溢れている。同性でもうっとりするような美しい乳房の女性たち・・・美術館に並ぶ絵画のように上品なステージは、今でも行われていたら是非観に行きたいもの。冒頭のクレジットで流れるアニメーションも凝っていて素敵。

ところで、本作はあの化粧品DHCが初めて配給を手がけた記念すべき第一回作品。映画配給も始めたなんてちょっとビックリ。

キーワード;
オーディション、ロンドン、ヌード、ミュージカル、絵画、劇場、霊園、クマの着ぐるみ、兵士、一人息子、ダンス、ナチス、21歳

MRS HENDERSON PRESENTS
2005年イギリス
監督:スティーブン・フリアーズ
出演:ジュディ・デンチ、ボブ・ホスキンス、ケリー・ライリー、ウィル・ヤング他

12月、Bunkamuraル・シネマにて公開


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『ありがとう』 [映画(伝記・実話)]

阪神大震災を正面から捉えた映画はこれが初めての気がする。あの震災で人生の挫折を経験した人々の再生の物語で、実話の完全映画化でもある。原作は「還暦ルーキー」。主人公の古市忠夫はシニアツアーで活躍中のプロゴルファーである。もともと神戸市の商店街でカメラ店を営んでいた彼が被災して財産を失い、立ち直るまでの努力と家族の愛を描いた感動作だ。

1995年1月17日未明。神戸市を激しい揺れが襲った。家々は倒壊、高速道路は無残に崩れ落ちる。カメラ店を営む古川忠夫の一家は無事だったが、商店街は焼け野原になり、友人も店も財産も失った。忠夫は街の復興に向けてボランティア活動に奔走する。しかし、忠夫自身の家族には苦労のかけっぱなしだった。ある日、忠夫は自分の車が無事であると知らされ見に行ってみると、トランクの中に無傷のままのゴルフバッグがあった。何かを感じ取った忠夫は、ゴルフのプロテストを受ける決心をする・・。

やはり地震が起きる瞬間のシーンは恐い。映画とは言え、その恐ろしさは充分に伝わってくる。激しい揺れの恐ろしさは勿論だが、その後の、家々を焼き尽くす火事はもっと恐い。倒壊した建物の下敷きになったまま火が迫ってきて、家族を見殺しにせざるを得なかった人々・・。消防車は来ない。ただ、焼けるのを見ていることしかできないのだ。もし自分がここに居たら気が狂ってしまっただろう。

忠夫の家族は無事だったが、店が焼け、これからどうしたらいいのか分からない状況にある。復興事業に懸命に取り組むものの、妻に「家族の復興はどうしたのよ」と言われてしまう。映画は、途中でゴルフモードに切り替わる。それは、tっとも不自然なことではない。忠夫が「金を稼ぐ手段」として選んだのは、大好きなゴルフ。焼け残っていたゴルフクラブが彼を奮い立たせたのである。素晴らしいアイディアだと思う。「とりあえず金を稼ぐ」のではなく、自分が好きなことを選ぶ。それは、自分自身が立ち直るために最も大切なことだったに違いない。猛練習を続ける忠夫を、呆れながらも見守る母や娘たちとの絆も強くなっていく。プロテストに合格した後に、通りがかった係員に思わず泣きついて吐露するシーン(冒頭とラストに二度ある)には胸にこみ上げてくるものがある。

奇跡のような本当の話だが、人生を二度生きる人が世の中には居るのだ。あの震災を経験した人々の多くがそうかもしれない。これだけの経験をした人は、生きるということについて確固たるものを胸に抱いていると思う。地震だけに限らない。大切なものを失ったときにどう生きるか。その答えがこの映画にはある。

プロデューサーは、震災当時、実家が宝塚市にあった仙頭武則。監督は万田邦敏。主演は赤井英和。

2006年(?)日本
監督:万田邦敏
出演:赤井英和、田中好子、尾美としのり、光石研、柏原収史、高橋和也、薬師丸ひろ子他
賛同出演:永瀬正敏、豊川悦史、佐野史郎、仲村トオル他

11月25日より全国公開


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『バルトの楽園』 [映画(伝記・実話)]


日本人が一番好きなクラシックはベートーヴェンの「第九」であると言われているが、その「第九」が日本で初めて演奏されたときの美談(勿論、実話)を、松平健とドイツの名優ブルーノ・ガンツ(『ヒットラー~最後の12日間~』)共演、出目昌伸監督で映画化した壮大な人間ドラマ。タイトルの”バルト”はバルト三国のバルトではなく、この映画の主人公である松江所長の誇りと彼の象徴でもある口髭を指している。更に、「楽園」は「らくえん」ではなく「がくえん」と読む。

1914年、第一次世界大戦で日本軍はドイツの極東根拠地・青島を攻略。ドイツ兵4700人が捕虜として送還され、日本各地の収容所に収められた。厳しい待遇を覚悟していたドイツ兵たちだが、徳島の坂東俘虜収容所は違っていた。所長の松江は陸軍の上層部に背いても捕虜たちの人権を尊重し、寛容な待遇をさせていたのである。収容所内では新聞を印刷、パンを焼き、楽器を演奏し、ビールを飲みながら歓談することもできた。彼らの中に言葉や文化、そして戦争という壁を越えて絆が生まれていく。やがて休戦条約調印でドイツ帝国は崩壊、自由を許された捕虜たちは所長をはじめとする地域住民に感謝の念を込め、ベートーヴェン作曲の「交響曲第九番 歓喜の歌」を演奏することにする・・。

分かりやすい展開とクライマックスに向けての高揚。いい意味でハリウッド的なエンタテインメント性を持っている。異なる国同士の友情という単純なテーマ以上に訴えるものがあり、そこには人が生きていくうえでの普遍的で最も大切なものが込められている。それは、他人を尊重すること、敬うこと、感謝すること。これが簡単そうでいて、いかに難しいことであるかは今日の社会を見ていればよく分かる。松江の人柄を生み出すもととなった、会津藩士である彼の過去を振り返るシーンも胸を打つ。とは言っても映画全体の雰囲気は決して重々しくなく、戦闘シーンは冒頭と回想以外には出てこないし、不器用に自転車に乗る様子や地域住民と共に阿波踊りを楽しむ松江の姿が微笑ましい。個人的に一番好きだったのは、捕虜だったドイツ兵が折り紙を教えてくれた女性に別れを告げるシーン。とにかく名場面が多い。

松江を演じる松平健はこれが映画主演作4本目だが、代表作になることは間違いない。全ての役者が適役を演じている。特にドイツ兵を演じるドイツの若い俳優陣の演技が印象に残る。

映画に合わせて発売されたキャンペーンソング「マツケンのAWA踊り」もよろしく!(ナンデ私が宣伝を・・)
http://www.geneon-ent.co.jp/music/matsuken/gncl0016.html

こちらは『バルトの楽園』の公式サイト
http://www.bart-movie.jp/

※プレミア試写では、語呂あわせだけで大相撲のバルト関がゲストで呼ばれてた。この場合の「バルト」は意味が違うんですが^^;

監督:出目昌伸
出演:松平健、ブルーノ・ガンツ、阿部寛、高島礼子他

6月17日より全国東映系にて公開

(C) 2006「バルトの楽園」製作委員会

参考CDとサントラ購入はこちら↓

ベートーヴェン:交響曲第9番


ベートーヴェン:交響曲第9番


東映映画「バルトの楽園」オリジナル・サウンドトラック


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『南極物語』 [映画(伝記・実話)]

23年前に日本で公開された『南極物語』をディズニーが映画化したのが本作。懐かしいなあ。当時私はかなり押さなかったけど(歳がばれる)、下北沢に一館だけ映画館があって、そこで父親と観た。あの映画館に行ったのは、あれが最初で最後だったっけ。

私事はともかく、日本版はアメリカでも公開されたとの事だが、いつのことなのだろう。プロデューサーのデヴィッド・ホバーマンは映画を観て大変な感動を覚え、必ず自分の手で再映画化すると決めていたそうだが、何故今なのか。リメイクまでの家庭について詳しく知りたい気もする。監督は『バック・トゥ・ザ・フューチャー』や『シックス・センス』の名プロデューサー、フランク・マーシャル。主演は今一番頭角を表しているポール・ウォーカー。共演に『僕のニューヨークライフ』のジェイソン・ビッグス。

米国科学財団・南極基地で働くジェリー(ウォーカー)は、超一流の南極ガイド。確かな判断力に加え、何より8匹の犬ぞり犬とのパートナーシップが、数々の困難を乗り越えてきた。だが、南極が記録的な猛吹雪に見舞われ、ジェリーらスタッフは退去を余儀なくされる。一時的な退去であることと必ず戻るとの約束を信じ、犬たちを残して南極を後にするが、天候は日々悪化、もはやジェリーたちが犬たちのもとに戻る術はなかった。置き去りにされた犬たちには過酷な状況が待っていた・・。

私がオリジナルをを観たのは確か映画館での一度だけだったと思うが、今日観た本作と大分印象が違う。まず、生き残った犬がタロとジロの2頭だったのに対し、ハリウッド版は6頭。犬たちのサバイバルや仲間の死の残酷さは、日本版の方が顕著だったように思う。
それよりも印象に残ったのは人間側の方。何とかして救助に行きたいと懸命に立ち動くジェリー。彼の犬たちへの愛情が深く描かれている。
それから、犬たちの演技には言葉が見つからないほど感動。最初の方で博士が氷の海に体が半分落ちる場面があるが、ヒビだらけの氷に人間が近づいて救助することは出来ない。輪にしたロープを犬にくわえさせ、腰を落としてソロリソロリと近づき首に輪をかけ引っ張るという命令を、間違いなくやってのける姿には脱帽した。実際、撮影に使われた犬たちは特別な猛訓練を受けたという。犬って賢い!

生き残る犬が多いのもアメリカらしい。日本公開当時に子供だった人が親になっている世代。子供を連れて観に行くといいかも。

EIGHT BELOW
2006年アメリカ
監督:フランク・マーシャル
出演:ポール・ウォーカー、ブルース・グリーンウッド、ムーン・ブラッドグッド、ジェイソン・ビッグス

3月18日より有楽座他にて公開


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