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『明るい瞳』 [映画(恋愛)]

フランスで新人の映画監督に与えられるジャン・ヴィゴ賞を受賞した期待の若手監督、ジェローム・ボネルの長編第二作目。主人公は個性的な大人の女性。彼女がある日偶然に見つけた居心地のいい場所と素敵な出会いを、美しい森を背景に描く”言葉の要らない”ファンタジーだ。

ファニーはちょっと変わった女性。兄夫婦と同居しているが、何となく居心地が悪い。ある日、兄嫁の浮気現場を目撃したファニーは彼女と大喧嘩の末、家を出ていく。国境を越えて森を抜けた所で出会ったのは木こりのオスカー。彼は森の中の小さなログハウスに暮らしていた。彼との触れ合いを通して、ファニーは生まれて初めて優しい愛を知る・・・。

前半は、ファニーの不器用さと”変人”さが強調されている。ちょっとばかり人と考え方が違うだけで社会に馴染めない人間は、今沢山居る。ファニーはそんな人々の代表選手のようだ。
ファニーが森に行き着いてからの後半は台詞がぐっと少なくなる。オスカーはドイツ人で、ファニーはフランス人。言葉が通じない二人が恋に落ちていくまでを、微妙な表情と仕草だけで決め細やかに描いている。

私は台詞の少ない映画が好きで、こういう映画を観ると、やはり言葉がいかに無力であるか、そして大して重要ではないということを考えさせられる。信頼関係は、言葉などなくたって築けるのだ。

バベルの塔を建てようとした人間たちが神から受けた罰は、言葉が通じないことだった。でも、それは言葉よりもっと大切なものがあると気づかせてくれるための、神からの贈り物だったのかもしれない。

複雑な意味合いを込めたラストシーンが印象的。
彼女の涙をどう解釈するのか、きっと観る人によって様々だろう。

キーワード;
兄、父親、浮気、椅子、森、車、シャワー、ピアノ

les Yeux Clairs
2005年フランス
監督:ジェローム・ボネル
出演:ナタリー・ブトゥフ、ラルス・ルドルフ、マルチ・チッティ、ジュディット・レミー他

初夏、渋谷シアターイメージフォーラムにて公開


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『毛皮のエロス』 [映画(恋愛)]


物凄く感情移入して観てしまった。

実在した女性写真家・ダイアン・アーバスが写真家として目覚めた瞬間の物語を、二コール・キッドマン主演で映画化。監督は『セクレタリー』の奇才スティーブン・シャインバーグ。ダイアン・アーバスはフリークスやヌーディスト等を被写体にし、既存の美の概念に真っ向から挑んだ気鋭の写真家だ。

冒頭、ある門を訪ねるダイアン。門の前に現れ、彼女を招き入れたのは一糸纏わぬ姿の中年男性。見回すと、彼の周りのどの人間も一切服を身につけていない。
話は数ヶ月前に遡る。
1958年、NY。裕福な家庭に育ったダイアンはファッションカメラマンである夫のアシスタントを務めながら、本当の自分はどこか別な世界にあると思っていた。ある日、ダイアンの隣の家に、全身をコートで覆い、マスクを被った異様な姿の男が引っ越してくる。この異形の男に激しく心を奪われたダイアンは意を決して彼を訪ねる。彼に迎えられたダイアンは、まさに自分が求めていた未知の世界に足を踏み入れたのだった・・。

グロテスクでもあり、美しくもあり、まるでアリスがウサギの穴に落ちていくように果てしない好奇心の世界へと導かれる。
謎の男を演じるのはロバート・ダウ二ー・Jr。一時期は再起不能とまで言われた彼だったが、苦悩を体験した分、演技力もますます増したよう。誰にも愛されない(はずの)、異形の男の哀しい眼差しが印象的。
映画は、ダイアンが家庭と芸術への探究心の間で苦しむ姿をもリアルに描き、ただ幻想的なだけでは終わらない内容になっている。中は恐らく本物(?)と思われるフリークスの俳優たちが何人か登場する。

ここから先は個人的な思いだけれど、状況さえ整えば私もダイアンになり得る可能性は大いにある^^; 異形=フリークスに惹かれ、幻想を抱く傾向があって、実は関連した本も何冊か持っている(画像)。映画『フリークス』のレビューも参考までに・・ブログに掲載中です。
http://blog.so-net.ne.jp/hanamomimo/2007-02-08-1

ラストで”謎の男”とダイアンが抱擁するシーンは切なく悲しく、それでいて官能的だ。
泣いていい映画か分からない。でも、何故か涙が・・・。
あまりにも感覚的で説明できない悲しみを感じた映画は『パフューム』以来。
好みが分かれそうな映画ではあるけど、私は好き。

キーワード;
鍵、毛皮、青いドレス、美女と野獣、カメラ、ウサギ、剃刀、海

FUR-AN IMAGINARY PORTRAIT OF DIANE ARBUS
2006年アメリカ
監督:スティーブン・シャインバーグ
出演:二コール・キッドマン、ロバート・ダウ二ー・Jr他

5月、シネマGAGA!他全国順次公開

ダイアンの作品集はこちらで↓

ダイアン・アーバス作品集


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『イタリア的、恋愛マニュアル』 [映画(恋愛)]

『ライフ・イズ・ビューティフル』を世界中の人の涙を誘った脚本家、ヴィンチェンツォ・チェラーミニが3年間温め続けたアイディアをもとに、ジョヴァン二・ヴェロネージ監督が4つの物語として完成させた恋愛譚。かつて、セクシーなソフィア・ローレンや哀愁漂うマルチェロ・マストロヤン二が全盛期だった頃の名コメディ映画を髣髴とさせる、伝統的なイタリア式喜劇へオマージュを捧げた作品でもある。

第一章:めぐり逢って
失業中の青年トンマーゾは、ある日偶然出会った女性ジュリアに一目惚れ。翌日から猛アタックを開始するがことごとく無視されてしまう。しかし、初めて強気な発言をした彼に少しずつジュリアは心を開いていき、ついに・・・。

第二章:すれ違って
マルコとバルバラは倦怠期真っ只中の夫婦。何をやっても互いへの興味がわかない生活にウンザリ。ある夜、友人のパーティに一人で出席したバルバラは酔っ払ってマルコに迎えに来てもらう。「一晩中踊ってキスまでしちゃった」と告白するバルバラに、マルコはちょっとだけ嫉妬。しかし、次の瞬間、2人を邪魔したのは・・。

第三章:よそ見して
「イタリア人の夫の85%、妻の60%も浮気をする。でもうちの旦那は優しいからその心配はなし」と言う婦人警官オルネッラ。しかし、幼稚園に通う息子の学芸会を観に行った際、ウサギ役で参加した旦那が息子の先生と舞台袖でイチャついている現場を発見!復讐心に燃えたオルネッラは家中に旦那を罵倒する言葉を落書き、更に翌日から、後に伝説となる鬼のような交通違反チェックが始まった・・。

第四章:棄てられて
妻に家出された小児科医のゴッフレード。最近は何をやってもうまく行かず、落ち込むばかり。妻の電話に繰り返し「愛してる」とメッセージを残すが、それすら間違い電話。本屋で購入した「恋愛マニュアル」に従って初恋の女性と待ち合わせるゴッフレードだが、遠くから彼女を見てその姿に唖然・・。勤務先の看護婦に好意を寄せられた彼は、彼女の家でベッドになだれ込むが、彼女の旦那が予定を早めて帰ってきた!ベッドの下に押しやられるわ、窓の外に追いやられるわで散々な目に合う。結局、妻は帰ってこないことを確信したゴッフレードは傷心、一人海に向かう。そこで素敵な出会いが待っているとも知らずに・・。

どの物語もとてもよく出来ていて(でも、第二章はもう一つかな)、全く飽きさせない。全ての物語のキャラクターたちは必ずどこかでニアミスしている。本当に昔のイタリアンラブコメディを観ているようで、久々に楽しい映画を観ることが出来た。特に面白かったのは最後の第四章。ストーリーを読んでもらえれば大体は予測できると思うが、爆笑の連続で涙が出た・・(笑いすぎるのでハンカチ必須)。
第一章のカップルを演じるのは、現在、イタリア版yahoo!サイトで最多の検索数を誇る若手俳優、シルヴィオ・ムッチーノと『輝ける青春』で瑞々しい魅力を披露したジャスミン・トリンカ。ラストストーリーでゴッフレードを演じるのはイタリアを代表するコメディアン、カルロ・ヴェルドーネで、さすがの存在感を示している。

尚、日本語版字幕は人気脚本家の大石静。

キーワード;
黒猫、バイク、観光ガイド、海、ダンス、赤ん坊、パーティ、レッカー車、人気キャスター、学芸会、交通違反、裁判、書店、留守番電話、宅配ピザ、浜辺のレストラン

MANUALE D'AMORE
2005年イタリア
監督:ィンチェンツォ・チェラーミニ
出演:ルヴィオ・ムッチーノ、ジャスミン・トリンカ、マルゲリータ・ブイ、セルジョ・ルビー二、ルチャーナ・リッティツェット、
カルロ・ヴェルドーネ、アニタ・カプリオーリ他

初夏、シネスイッチ銀座他にて全国順次公開


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『ルオマの初恋』 [映画(恋愛)]

チャン・ツィイーを一躍有名にした『初恋のきた道』を髣髴とさせるような、初々しい初恋映画がまた中国から誕生した。
本作は2002年の作品で、その年のベルリン国際映画祭に出品されて好評を博し、撮影当時16歳だった主演のリー・ミンは、中国国内のアカデミー賞に値する金鶏奨で最優秀新人賞を獲得した。

ハニ族の少女ルオマは、毎日祖母が茹でたとうもろこしを籠に入れて背負い、乗合自動車で町に出て”焼きとうもろこし”を作って売っている。そこで彼女はとうもろこしを買ってくれたカメラマンのアミンと出会う。彼はルオマと写真を撮りたがる観光客たちを見て、棚田を背景に観光客と写真撮影をする商売をルオマに提案。二人の作戦は大当たりで、アミンとルオマの距離も縮まっていく。ルオマには、いつか町に行って重い荷物を運ぶことができるエレベーターに乗りたいという夢があった。アミンは必ず昆明に行ってその夢を叶えてあげようと約束してくれる。ある日、アミンの前に一人の女性が現れる。彼女はアミンの恋人で貧乏なアミンに仕送りを続けていたのだ。罵りあう二人の声を遠くに聞きながら、ルオマの心は・・。

汚れのないルオマの心情と純朴なアミンの淡い恋物語が、とにかく微笑ましい。人は傷ついたとき、瞬時に悲しみは襲ってこない。何かのはずみで気持ちが緩んだときにワッと感情が押し寄せてくるもので、その心情を見事に表現したルオマがラストで号泣するシーンは、そのタイミングの巧さにやられて思わずこちらも涙が溢れた。
ストーリーは勿論のこと、この映画の見所は中国の風土や習慣。ルオマはハニ族の娘で、普段から民族衣装を身にまとって生活している(特に帽子に注目!)。民俗学的な視点でも楽しめるし、棚田の風景が美しい。中国に興味がある人は見逃せない作品。因みに、「カリビアン・ブルー」は私も大好きで一時期よく聴いた歌。

キーワード;
とうもろこし、ウォークマン、エンヤ、棚田、写真、エレベーター、バイク、泥だんご

When Ruoma Was Seventeen
2002年中国
監督:チアン・チアルイ
出演:リー・ミン、ヤン・チーカン、シュー・リンユエン、リー・ツイ

初夏、東京都写真美術館ホールにて公開


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『恋愛睡眠のすすめ』 [映画(恋愛)]


『エターナル・サンシャイン』の奇才ミシェル・ゴンドリー監督待望の新作で、初脚本を執筆。主演にガエル・ガルシア・ベルナルとシャルロット・ゲンズブールを迎え、またしても奇想天外でとびきりキュートな物語を誕生させた。

何をやってもパッとしない人生を送るステファンは、父の死をきっかけにメキシコから母の暮らすパリに帰郷する。ある日、ステファンのアパートの隣の部屋に可愛らしい女性ステファニーが引っ越してくる。心惹かれるステファンだが、内気すぎて自分が隣の住人だとすら言えない始末。実はステファンは、夢の中では理想の人生を作ることが出来る特技があった。彼女を好きになるほど完璧な夢が出来上がっていくが、果たして現実のステファンは?次第に夢と現実がごっちゃになっていく彼の恋の行方は?!

職業柄クリエーターであるステファンとステファニーの作る世界を表現するため、映画では視覚的な工夫が凝らしてある。と言ってもCGに頼った演出ではなく、フェルトやボール紙で作った大・小道具の数々。動く絵本を眺めているかのような楽しい映像がスクリーンいっぱいに広がり、”可愛いもの好き”な女性客たちが喜びそう。旬のスターを主演に迎えているが、この映画の本当の主役は俳優ではなくて美術スタッフだと言っていいほど独自のセンスが光っている。実写なのにアニメーションを観た後のような後味だ。ガエルは恋愛ものでも重い内容の映画が多く演技派のイメージが強かったが、今回初めて軽いロマンチック・コメディに主演し、意外にもそのキャラクターが似合っていることを印象付けている。毎度指摘して悪いが背が低いから二枚目より二枚目半位の方が向いている(だってシャルロットの方が背が高い)。シャルロットは実際はガエルより7歳も年上だが、相変わらず少女らしい瑞々しさを失っておらず、ガーリーでメルヘンタッチな映画の雰囲気にぴったり。ステファンの仕事仲間たちが変わり者揃い。彼らもまたステファンの夢に何度も登場し、彼の無意識下に何があるのか辛口に指摘する。名コメディアン、アラン・シャバが癖っぽい仕事仲間の役でクドさをふりまいている。

ラストがちょっと中途半端なのが惜しい。でも、こんな夢を見られる才能が欲しい。

キーワード;
災害論カレンダー、ピアノ、夢、TV、タイムマシン、泳ぐ、ポニー、70歳、ノアの箱舟

THE SCIENCE OF SLEEP
2006年フランス
監督:ミシェル・ゴンドリー
出演:ガエル・ガルシア・ベルナル、シャルロット・ゲンズブール、アラン・シャバ、ミウ=ミウ他

GW、渋谷シネマライズにて公開

『エターナル・サンシャイン』のDVDはこちら↓

エターナルサンシャイン DTSスペシャル・エディション


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『絶対の愛』 [映画(恋愛)]

韓国映画は本来あまり好みではないのだけど、唯一好きなのがキム・ギドク。彼の作品すべては観ていないが、『うつせみ』『弓』のように、ヨーロッパテイストの作品を生み出している。さすが、パリに暮らしていただけある。本作はそんな彼が韓国映画界からの引退宣言をした直後に公開された。独創性に飛んだ作品作りで天才と呼ばれるギドクの描く”愛の哀しみ”は、男と女が直面する永遠のテーマでもある。

深く愛し合っているはずの一組のカップル、セヒとジウ。セヒは、ジウが少しでも他の女に気を取られるのが恐くて、ときに異常なほど嫉妬する。彼女は今日もまた彼と言い争ってしまった。「彼は私に飽きている」・・・不安に苛まれるセヒは、ついに整形手術を決意。一方、セヒと連絡がつかず困惑するジウの前に魅力的な女性スェヒが現れる。次第に愛し合うようになる二人だが、スェヒは一人密かに泣いていた。そして彼女はセヒの名前で彼に手紙を書く。セヒとよりを戻すことを決めたジウに、真実を知らせるスェヒ。ショックと怒りで姿を消してしまったジウが取った行動とは・・・。

実を言うと、この作品あまり好きではなかった。まず、すべてにおいてあり得ない。喫茶店での痴話喧嘩シーンが多すぎる。しかも毎度同じ喫茶店・・普通、一度騒ぎ起こした喫茶店に繰り返し行かないでしょ。それから、スェヒもジウも初対面の人に無防備に近づきすぎ。ジウはいかにも現代人らしいハッキリしない男で、スェヒ(セヒ)は気性が激しすぎ。これじゃ、どこまで行ってもこの二人がうまくいくことはないだろうと思ってしまう。・・などなど、突っ込みたい箇所が多くとも、人間というものは常に変化を求めているもの。その本能と恋愛の不安をうまく絡め、そして、もしかしたら整形が日常になっている韓国の美容事情を皮肉っているのかもしれないギドクの着眼点は評価したい。

前半はどちらかと言うとジウの視点で描かれているが、後半はスェヒ(セヒ)の視点。ラスト近く、発狂したスェヒを熱演するソン・ヒョナの鬼気迫る演技が見もの(見ていてかなり恐い)。そして、思わず言葉を失う驚愕のラストをどう解釈するか。愛の不条理を考えさせられる一作。二人が訪れる彫刻公園がなかなか面白い。

キーワード;
カフェ、整形、嫉妬、カメラ、彫刻公園、フェリー、写真、手紙、”ぴったり合う服”

TIME
2006年韓国
監督:キム・ギドク
出演:ソン・ヒョナ、ハ・ジョンウ、パク・チヨン、キム・ソンミン、杉野希妃他

3月、渋谷ユーロスペースにて公開


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『天国は待ってくれる』 [映画(恋愛)]

『ちゅらさん』『いま、会いにゆきます』の人気脚本家、岡田惠和が初めて書き下ろした同名小説の映画化(本作の脚本も本人執筆)。男二人と女一人・・不滅のテーマでもある、この「三角関係」ならぬ「三角形」を友情の象徴として描いた、「聖なる三角形」のドラマである。舞台は築地~銀座。築地市場の全面協力を得て、平日(つまり営業時間中の)の撮影を敢行した。主演は、『地下鉄(メトロ)に乗って』に続いての主演となる岡本綾、V6の井ノ原快彦、そして元EXILEで現在はソロとして活躍中の清木場俊介が映画初出演している。

築地の小学校時代から仲良し3人組として育ってきた幼馴染の宏樹、武志、薫。聖なる三角形を作り、永遠の友情を誓い合った。成長した3人は、宏樹は築地市場を見下ろす新聞社で、武志は築地市場で父親と共に、薫は銀座の文具店で働いている。今でも彼らの聖なる三角形は壊れていないが、ある日武志が爆弾発言。「今から薫にプロポーズする!」。一瞬、言葉を失った薫と宏樹だったが、薫は何か想いを残したまま武志の申し出を受け入れる。しかし、婚約パーティの当日に武志の乗った車が交通事故に。一命をとりとめたものの、彼の目はそのまま何年も開くことはなかった・・・。

(以下、ネタバレあり)
正直、こういう大事なときに事件や事故が起きるという展開はさほど新鮮ではないし、ある意味ズルイ。しかも武志の場合、婚約パーティの当日に事故にあい、数年後再び目覚めるというときが宏樹と薫の婚約発表の日・・タイミング悪すぎてあり得ない。この間当然、薫は「武志のこと、もう待たなくていいよ」と周りの人間に言われ、良心の呵責と闘いながらも宏樹と歩んでいく道を選ぼうとするのだ。ストーリー的には「う~んこの持っていき方はズルイッ」と意地悪な突っ込みを入れたくなるけど、大事なのはこの映画の最大のテーマである「友情」。見ていると、どの人も自分が犠牲になるほど他人を思いやりすぎていて痛々しい。でも、今どきこれだけ誰かに優しくできる人がどれだけ居るだろう。築地や銀座という、都会の中でも歴史ある街で育った若者らしい心遣いではないか?まさに古風、という言い方が相応しい。

キャスティングは岡田氏が当初から念頭に置いて書いたというだけあって、ピッタリ。岡本綾は個人的にはあまり好きではないのだけど、困ったような顔ばかりしている薫の心情をうまく演じていた。それにしても”オムライスの得意な母親”を持つ娘役が「メトロ・・」に続いて今回も・・(笑)。主演の若手3人を支える、蟹江敬三、いしだあゆみ、石黒賢らベテラン陣
の存在感が大きい。試写室の集まる銀座・築地界隈は見覚えのある風景ばかりで楽しめた。銀座の観光映画としても観られる。

キーワード;
転校生、マグロ、オムライス、築地市場、新聞社、交通事故、病院、記憶

2007年日本
監督:土岐善將
出演:井ノ原快彦、岡本綾、清木場俊介、石黒賢、戸田恵梨香、中村育二、佐々木勝彦、蟹江敬三、いしだあゆみ

2007年2月10日より丸の内ピカデリー他にて公開


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『さくらん』 [映画(恋愛)]

既に話題沸騰、試写室激混み。いまや世界的フォトグラファーとなった蜷川実花が、今最も多忙なスタッフ・キャストに恵まれて作り上げた映画初監督作品。原作は安野モヨコの同名コミック、脚本は『月とチェリー』のタナダユキ、音楽は椎名林檎、そして主演に土屋アンナという超豪華でパワフルな”ガールズ・花魁・ムービー”である。

8歳で遊郭「玉菊屋」に売られた少女は、自由を奪われた遊郭の中で「きよ葉」と名づけられ成長する。門外の桜は満開でも、廓の中の桜は一本も咲かない。「あの桜が咲いたら、ここから出てやる」と、きよ葉は心に決めていた。男勝りで喧嘩っ早いが、類稀な美貌を持ち心根が純粋なきよ葉は、花魁と肩を並べるほどの人気遊女となる。花魁の嫉妬を買い、惚れた男との仲も裂かれ身も心もボロボロになるが、やがて彼女は吉原一の花魁”日暮”となる・・。

吉原で生活する遊女の話だから世界が違うと思いきや、これはどんな世界のどんな人でも体験する人生である。きよ葉は遊女に向かないほど真っ直ぐでピュアで、だからこそ他の女たちから嫉妬され恨まれる。純粋で正直な気持ちを貫くことは、大人になればなるほど難しい。しかし、きよ葉は子供のように心が美しいのだ。悲しいときには人知れず大声で泣く。惚れた男を一途に愛する。どんなに金を持っていても横柄な客にはなびかない。徹底的に遊女を”商品”として扱う遊郭で、自らの意思を何より大事にしたきよ葉の生き方は普遍的な力を持っている。きよ葉が笑っているシーンは少なく、泣いているシーンばかりだ。でも、彼女の強さが最後には幸福を呼ぶ。それは、演じる土屋アンナ本人の生き方にも通じるものがあり、きよ葉はという女性は彼女の地に近いキャラクターかもしれない。

映画全体は蜷川カラーで彩られており、江戸時代独特の、本能を刺激するようなあの官能的な色使いがそこここに見られる。まさに写真集をめくるような美しい映像・・これは写真家の本領発揮である。衣装や大・小道具など美術的な考証に関しては「あの時代にこんなのあったの?」と突っ込みたくなるような部分はあるものの、そこは時代を超えた斬新な演出を評価した方が利口。第一、土屋アンナ自身がハーフで、本来ならば時代劇では浮いてしまう顔立ち。しかし、結果的には浮いてなんかおらず、見事に吉原カラーに融合。全く違和感なく花魁という大役を演じきっている。この映画では他に二人の花魁が登場するが、一人は菅野美穂演じる「粧ひ」と木村佳乃演じる「高尾」。菅野のミステリアスな花魁、木村の恋に燃え壮絶に散る花魁、どちらも強烈な印象を残す。登場人物がかなり多いのに、きよ葉をはじめとしてそれぞれの心情が細やかに描かれていた。特に後半の、きよ葉と彼女を見守り続けてきた清次(安藤政信)の心の接近には注目。

個人的な話だけれど私は小さい頃、将来は花魁になりたいと思っていた。勿論、花魁が遊女であることを知らなかったからこそ、そう思っていたのだけれど、テレビか浮世絵かだったか忘れたが、ただ花魁の美しさに憧れて、しょっちゅう「オイラン、オイラン」と騒いでいた(笑)。だから、今でも”花魁”と聞くと食指が動く。花魁は遊女=娼婦なのに、ときには客との本気の恋も許される。最後は身請け=結婚という形で遊郭を出ることも可能。世界的に見ても、非常に特異で不思議なものだ。そして、いかにも日本的。

花魁映画と言えば『SAYURI』を思い出すが、こちらの方が感情移入できるのでおススメ(笑)。

キーワード;
桜、大門、金魚、折檻、花魁道中、恋、手練手管、かんざし

2007年日本
監督:蜷川実花
出演:土屋アンナ、椎名桔平、成宮寛貴、木村佳乃、菅野美穂、安藤政信、市川左團次、石橋蓮司、夏木マリ他

2007年2月24日より渋谷シネクイント他にて公開

(C)2007「さくらん」製作委員会 (C)安野モヨ子/講談社

関連本はこちら↓

さくらん写真集


ピンク・ローズ・スウィート


White Ice Sherbet―土屋アンナ写真集


さくらん


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『素敵な夜、ボクにください』 [映画(恋愛)]

カーリングと韓国人男性の恋を描いた、ちょっと変わったスポーツ・ラブコメディ。主演は、最近続々と出演作が公開される吹石一恵。相手役にはTVドラマ『ホテリアー』のキム・スンウ。

女優の卵のいづみは、いつまで経っても2時間ドラマの死体役くらいしか回ってこなくてイライラの毎日。これじゃ有名になる前に歳ばかりとってしまう・・と焦り始めたところへ、韓国のスターカン・スヒョンと出会う。カン・スヒョンの恋人になる→有名人になる→女優になる、という図式のもとに、彼とロマンチックな一夜を共にしたいづみ。しかし後日、彼はカン・スヒョンでなく、ジンイルというカーリングの選手だったことが判明。「有名になりたかったのに」と怒り狂ういづみに、妹や幼なじみたちは「カーリングでオリンピックに出れば」と安易に提案。突っ走ると止まらないいづみは本気になり、ルールさえ知らない超初心者チームを結成した・・・。

前半は、様々なところでとにかく無理が目立つ(笑)。大体、最初の出会いのシーンで、何故ジンイルはいづみに話しかけてきたのかよく分からない。カーリングが始まってからもキム・スンウは殆ど座ってるシーンばかりだし、これでいいのかと心配しながら見ていたら、後半は意外とテンポの良い展開に。よくこれだけ無理やりな設定がまとまったと思う(笑)。チームは4人編成だが、メンバーそれぞれの環境や性格が全く異なっているので見ていて飽きないし、カーリングのシーンも”フムフム、そうやってやるんだ”などと引き込まれる。吹石演じるヒロインは超自己中心的で我侭な性格。でも、嬉しいときには素直に喜ぶ明るい彼女に、ジンイルは次第に惹かれていくのである。ただ、キム・スンウって全然カッコよくないと思うのですが。ナンデこの人がこんなにいいのか理解できませぬ。いづみの妹役は『ハチミツとクローバー』での演技が記憶に新しい関めぐみ。身勝手な姉をクールに見守る”オトナ”な彼女も魅力的。吹石一恵って美人なんだけど、どこか野暮ったさもあるので、おとなしいお嬢様より、こういう”ちょっと性格悪い女の子”役の方がいい気がする。

ルールも知らないのに、いきなりカーリングでオリンピックなんてあり得ない、と思ってたけど、カーリングはまだまだチーム自体の数が少なく競争率が低いので、オリンピック出場は意外と夢だけの話ではないそうだ。でも、トリノで注目されたチーム青森やこの映画の影響で、カーリング人口がジワジワと増えるかも・・?

キーワード;
青森、ランドセル、カーリングエンジェルズ、ウィスキー、プロポーズ

2007年日本
監督:中原俊
出演:吹石一恵、キム・スンウ、占部房子、関めぐみ、枝元萌、飛坂光輝、八戸亮、木野花

2007年陽春、シネマート六本木他にて公開


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『TANKA 短歌』 [映画(恋愛)]

原作・俵万智×監督・阿木耀子×主演・黒谷友香という魅力的なコラボレーションにより生まれた官能映画。俵万智の処女小説『トリアングル』が原作で、阿木は監督初挑戦、黒谷も映画主演は初めてとなった。年上と年下、それぞれ異なる魅力を持つ2人の男の間で揺れる30代の女心を、黒谷がセクシーに演じている。

フリーライターの薫里は、妻子の居るカメラマンMと9年越しの愛人関係を続けている。温かく、落ち着いた物腰で薫里を優しく包み込むM。彼とのセックスは、薫里の女としての悦びを満たしてくれる・・彼女は溢れる感情をを短歌に綴っていく。ある日、彼女はバイオリニストの卵・圭に出会う。彼の初々しさと、若く荒々しいセックスに惹かれていく薫里・・しかし、圭は次第に結婚を意識し始め、薫里はそんな彼の想いが負担になってくる・・。

スゴイ。黒谷友香、初主演にしてこの大胆な濡れ場。セックスシーンの他に、心の揺れや官能の象徴としてベリーダンスを用いるなど、まさに五感に訴えるエロスを強調している。でも、恋愛より官能という感じで、女性よりオジサマ方が喜びそう・・^^;薫里が真に何を求めているのかがイマイチ掴みにくいのと、後半はMも殆ど出ないし、圭の純粋性やストーカー一歩手前の一途さなどに話が偏っているのが難点。映画というよりテレビドラマ的な印象も受ける。でも、時々挿入される短歌に共感する女性は多いだろうし、黒谷友香の美しい肢体を拝めるのでファンは必見。圭を演じる黄川田将也は最近注目株の若手。そして音楽はやっぱり宇崎竜童(笑)。

キーワード;
短歌、ベリーダンス、レストラン、フォアグラ、妊娠、シングルマザー、ドライフラワー

2006年日本
監督:阿木耀子
出演:黒谷友香、黄川田将也、村上弘明、高島礼子、中山忍、西郷輝彦他

11月11日より全国公開

原作の購入はこちら↓ 

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