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『リトル・チルドレン』 [映画(ヒューマンドラマ)]

初っ端から宣言。これ傑作です。本年度アカデミー賞に3部門でノミネート(主演女優賞、助演男優賞、脚色賞)された話題作でもあり、監督は『イン・ザ・ベッドルーム』のトッド・フィールド。絶対に、誰が見ても共感できる作品ではないかと思う。経済的に恵まれた2つの家庭の主婦と主夫を主人公に、彼らの周りの人々や、ちょっとした事件を絡ませながら展開する絶妙な味わいのドラマとなっている。

郊外の街に住む主婦のサラは、子供たちを公園で遊ばせながら近所の主婦たちとお喋りを交わす退屈な”恒例行事”の最中に主夫のブラッドと出会い、惹かれあうようになる。街では元受刑者のロ二ーが出所してちょっとした騒ぎに。ブラッドの友人で元警官のラリーはそんなロ二ーに嫌がらせを働く。ロ二ーを見守る彼の母親。大人になりきれない彼らの運命は何処へ・・・。

登場人物は多いが、ややこしくなく、脚本が本当によく出来ている。
小さな街に住む彼らの孤独や悩み、寂しさは決して特別なものではなく、誰もが共感できる日常的なこと。理想と現実の間で傷つきながらも必死に幸福を求め彷徨う姿は痛々しくもあるが、映画全体は明るく、ときにユーモアも交えながら描かれている。劇中「ボヴァリー夫人」の話題が登場し、ある主婦が「彼女は裏切った」と評する一方、サラが「違うわ、渇望したのよ」と発言する。このシーンがこの映画のキーワードと言える重要なシーン。人は、誰かを傷つけずに幸せになることは出来ないのだろうか?切ないほど胸を締め付けられると同時に、”人間”に対する言葉にならない愛しさがこみ上げてくる。数あるヒューマンドラマの中でも、こんな風に感情を揺さぶる作品はちょっとない。

サラを演じるのはケイト・ウィンスレット(彼女の仕事の選び方にも脱帽。作品を見抜く力がある)、ブラッドにパトリック・ウィルソン、ブラッドの妻にジェニファー・コネリー。そしてロ二ーを演じるジャッキー・アール・ヘイリーの演技に注目。子役出身の彼が低迷期を経て本作でアカデミー賞にノミネートされたことも記憶しておきたい。

キーワード;
水着、プール、不倫、アメフト、母、司法試験、ボヴァリー夫人

Little Children
2006年アメリカ
監督:トッド・フィールド
出演:ケイト・ウィンスレット、パトリック・ウィルソン、ジェニファー・コネリー、ジャッキー・アール・ヘイリー他

夏、Bunkamuraル・シネマ、日比谷シャンテシネにて公開


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『サイドカーに犬』 [映画(ヒューマンドラマ)]

コンサバなタイプの女優にはあまり惹かれないのに、何故か竹内結子は好き。ただし、この人の演技は無個性で好きじゃない。あくまで外見が好きだったりする。独特の透明感とオーラにはちょっと憧れる。
そんな彼女が出産・育児を経て2年ぶりの映画出演となった今回の主演作。
監督は『雪に願うこと』の名匠・根岸吉太郎。原作は「猛スピードで母は」で芥川賞を受賞した長嶋有のデビュー作にして、第92回文学界新人賞に輝いた「サイドカーに犬」。

物語は、不動産会社の営業として働く30歳の薫の回想形式。
薫が小4だった20年前の夏、母親が家出した。数日後、いきなり家にズカズカと上がってきた女の人の名はヨーコ。「ご飯作りに来ただけ」と説明する彼女は、その日から毎日現れた。ドロップハンドルの自転車を乗り回し、大口で笑い、タバコをスパスパ。母親とは全く違うタイプのその女性に薫は憧れ、ヨーコと年齢を超えた友情を築いていく・・。

ヨーコが父親の愛人であることは明らかなのだが、それ以外の説明はなく、全く謎に包まれた女性である。仕事は何なのか、何歳なのか、どこに住んでいるのか、家族構成はどうなのか、父親とはどこで知り合ったのかも不明。ただ颯爽と現れ、何の足跡も残さずに去っていくのだ。
彼女は、薫や弟の透に対して、ぶっきらぼうでいて優しい。小学生の子供の、親以外の大人に対する観察力は計り知れないものだが、最初は戸惑いながらも、おおらかなヨーコに次第に心を開いていく薫の素直さが微笑ましい。
ヨーコも、強そうな女性に見えて、薫とホットケーキを食べながら一瞬ほろりと涙を見せる。彼女の本心が表れる大事なシーンだ。
映画の舞台は80年代。この頃流行ったモノが次々と登場するのも又楽しく、携帯電話もプレイステーションもなかった当時の素朴さが何だか懐かしい。どのシーンをとっても心が温かくなるのは、前作『雪に願うこと』とも共通している。

この日は完成披露試写会で、根岸監督と竹内結子、薫役の松本花奈ちゃんが登壇。
監督が「ヨーコ役は、似合わない人を選びたかった」と述べるように、竹内結子にとって新境地も言えるキャラクター。
彼女がしっとりした役を演じるとそれこそ当たり前でつまらないので、こういう役のほうが似合うのでは・・と内心思った。初めてこの人の演技を無個性と思わずに観られた作品だった。

キーワード;
自転車、麦チョコ、コーラ、パックマン、山口百恵、キヨシロー、ガンダム、カメノテ、馬券

2007年日本
監督:根岸吉太郎
出演:竹内結子、古田新太、松本花奈、谷山毅、ミムラ、鈴木砂羽、トミーズ雅、椎名桔平、伊勢谷友介、樹木希林他

初夏、シネスイッチ銀座、渋谷アミューズCQNにて公開

(C)2007『サイドカーに犬』フィルムパートナーズ

原作の購入はこちら。「サイドカーに犬」が収録されています

猛スピードで母は 


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『ドルフィンブルー フジ、もう一度宙へ』 [映画(ヒューマンドラマ)]

この春続々と主演作が相次ぐ若手俳優、松山ケンイチの最新主演作。
監督は『陽気なギャングが地球を回す』の前田哲監督。
沖縄、美ら海水族館に実在するイルカのフジと、病気になったフジのリハビリに奮闘する獣医や飼育員たちのリアルストーリーだ。

沖縄の美ら海水族館の新任獣医、一也の毎日の仕事は、イルカの餌になる魚のひれを落とす作業やプール掃除。飼育員ではなく獣医としてやってきたのに・・と不満を持つが、館長の方針は「飼育が出来なければ治療もできない。データを見るだけの獣医はいらない」。遠距離恋愛中の恋人とのメール交換が心の支えだが、忙しさのあまり彼女とのすれ違いも感じていた。そんなある日、イルカのフジの尾びれが壊死し始めていることに気づく。このままではフジの命が危ないので、尾びれの切断手術をすることに。しかし、尾びれを失ったフジは泳ぐことが出来ず、ただプールで浮いているだけになってしまった。もう一度フジを泳がせてやりたい・・そう思った一也に、世界初の試みとなる名案がひらめく・・。

動物と人間の愛情物語なら、これまでに幾つもの映画があった。今回もまたそれらと同じ類なら、いくら実話とは言え新鮮味はなかっただろう。本作でのフジのリハビリシーン、そしてフジのために人口尾びれを作ったタイヤメーカーのブリジストン側の試行錯誤など、ドキュメンタリーに非常に近い感覚で描かれている。そして何より、生き物の生命力には本当に驚かされる。
池内博之演じる飼育員と一也の考え方の違いなども興味深く、この飼育員の目から見た別なストーリーも作れるなと思えるくらいだった。
母親との確執から、学校にも行かず心を閉ざす幼い少女が登場する。彼女はフジに母親を重ね、フジの行く末を案じているが、ちょっと説明不足で感情移入が出来なかった。
館長役の山崎努がいい味出してる。
水族館近くのカフェのお姉さん(永作博美)と課長の地味な恋愛エピソードが微笑ましかったり。

因みに、今回の上映は完成披露試写会で、松山ケンイチ、少女役で主題歌を歌う15歳の高畑充希、恋人役の西山茉希、前田哲監督も出席。
すごい報道陣の数!松山ケンイチの人気の高さを思い知らされる。
ケンイチ君、ちょっと態度がデカイ?!早くも大物風吹かせてるぞ~。監督の方が腰が低かった・・。
西山茉希はcancanのモデルだそうで、イメージがエビちゃんソックリだった^^;可愛いのかもしれないけど個性ない・・と私は思ふ。

キーワード;
自転車、ビッグマザー、手術、人口尾びれ、結婚、ジャンプ

2007年日本
監督:前田哲
出演:松山ケンイチ、池内博之、坂井真紀、永作博美、高畑充希、西山茉希、山崎努他

夏休み全国公開


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『しゃべれども しゃべれども』 [映画(ヒューマンドラマ)]

落語ブームですなあ。そんな中公開されるのが、10年前の「本の雑誌」ベスト10第一位だった佐藤多佳子の同名小説。それを『愛を乞う人』の平山秀幸が映画化したものが本作。主演は単独初主演の国分太一。この日は完成披露試写で、主演の彼も舞台挨拶に出席した。

二つ目の落語家・今昔亭三つ葉は、もう一つパッとせず客受けしない自分に悩んでいた。そこへ、「落語を通して話し方を習いたい」と集まってきた3人の変わり者たち。いつもしかめっ面で無愛想どころじゃない美女、勝気でクラスに馴染めない小学生の少年、本当は毒舌家なのにTV解説となると満足に喋れない元プロ野球選手・・三者三様の彼らは何かと言えば衝突ばかり。一方、生徒(?)たちのまとめ役にならなければならないはずの三つ葉は、失恋をして又一つつまずいてしまう。彷徨う彼らのそれぞれの思いはどこへ行ってしまうのか・・?

人との距離感がうまく取れずに悩む人たちは多い。そんな現代人の悩みを、落語という古典的なテーマに絡めて描いたユニークな物語だ。生徒3人の個性が極端で面白く、彼らを見ているだけで飽きないが、特に小学生・村林を演じる子役の男の子が可愛い。大人と同等に会話する、こまっしゃくれた子供のはずなのに、この子が演じると何故か嫌味がない(『芋たこなんきん』にも出ているらしい)。美女役の香里奈、元プロ野球選手役の松重豊(野球選手の役多い?)共にピタリとはまっているし、脇を固める師匠役の伊東四郎、三つ葉の祖母役の八千草薫らベテランがいい味を出している。個人的に気に入った場面は、映画後半の発表会。村林少年がクラスメートを呼んで皆の前で語り聞かせる。その中には、日頃ライバル視しているガキ大将(?)の姿も。思わずプッと吹き出した彼を見て”あーっ笑った!”と叫ぶ村林少年・・・決まりが悪くて出て行くガキ大将の背中に「来てくれて有難うな!」。
想いを伝えることがままならない・・そう感じながら日常を送っている人は是非観るべき映画。
あたたかくて、日本人のいい所を再発見できそうな感動作だ。
・・・国分太一、着物が似合うなあ。

キーワード;
古典落語、カルチャースクール、浅草、ほおずき市、クリーニング店、野球、結婚、火焔太鼓、焼き鳥屋、まんじゅうこわい、小学校

2007年日本
監督:平山秀幸
出演:国分太一、香里奈、森永悠希、松重豊、八千草薫、伊東四郎他

初夏、シネスイッチ銀座他にて公開

原作の購入はこちら↓

しゃべれども しゃべれども


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『ロッキー・ザ・ファイナル』 [映画(ヒューマンドラマ)]

その昔、シルベスター・スタローン=「腕白でもいい、逞しく育って欲しい―丸大ハム」の人だと思っていた。まだ小学校に上がる前、ハムのCMでその顔を記憶していたのだった。「ハムの人」じゃなくて『ロッキー』の人だと知ったのはずっと後。言うまでもなく、彼の代表作は今も昔も『ロッキー』である。当時無名だった一人の俳優(スタローン)が執筆した脚本を本人主演で映画化したその低予算映画は、1976年のアカデミー作品賞に輝いた。その後、90年までにシリーズとして5作作られたが、第一作目から30年目にあたる昨年の12月に全米公開されたのが、伝説的名作の最終章『ロッキー・ザ・ファイナル』だ。本作は大反響を呼び、シリーズ最高傑作との評価も得ている。

無敵のチャンピオン、アポロとの死闘も30年前のこと。リングに情熱を注いだロッキーは現役を引退し、フィラデルフィアでレストランを経営している。愛妻エイドリアンは他界し、息子のロバートも家を出ていった。エイドリアンとの思い出やボクサーとしての過去の栄光にすがって生きるロッキーは、孤独と悲しみの中に居た。ある日、彼は30年前に出会ったことがあるという女性、マリーと偶然再会。当時不良少女だったマリーにタバコを吸うのをたしなめ、家まで送っていったのがロッキーだったのだ。マリー、そして彼女の息子との交流を機に、ロッキーは再びリングにあがることを決意する・・。

最大の見所は、やはりラストで行われる現役ヘビー級チャンピオン、ディクソンとのエキシビジョン・マッチ。それまではひたすらロッキーの孤独を描いているが、これが少々女々しい。時間的にもこの前半部分が長いので、トレーニングに励むシーンなどをもっと膨らませばよかったかもしれない。対戦シーンは息をつかせぬ展開。全ての観客が「頑張れ、ロッキー!頑張れロッキー!」と叫びながら観ているに違いない。感動するのは、対戦相手のディクソンがロッキーに敬意を抱いているところ。彼のコーチでさえ、試合後に「本物のボクシングを教えてもらったな」と言葉をかけるのである。・・しかし、ボクシングをよく知らない私は、結局、対戦結果がどうだったのかよく分からないままだった・・(爆)。とにかくロッキーの栄光が蘇ったことだけは分かった(爆)。

あの有名なテーマ曲は勿論、フィラデルフィア美術館の階段を駆け上がる名場面も再現し、記念すべき一作目へのオマージュを捧げているのも見逃せない。本作でのロッキーの推定年齢は不明だが、スタローン自身は昨年還暦を迎えている。いわゆる団塊の世代に絶大な支持を集めそうな最終章だ。

キーワード;
イタリアンレストラン、妻、ペットショップ、スケート場、シミュレーション番組、フィラデルフィア美術館、ラスベガス、犬、生卵、肉のサンドバッグ

Rocky Balboa
2006年アメリカ
監督・脚本:シルベスター・スタローン
出演:シルベスター・スタローン、バート・ヤング、アントニオ・ターヴァー、ジェラルディン・ヒューズ、マイロ・ヴィンティミリア他

4月21日より全国公開

ロッキーのDVDはこちら↓

ロッキー DTSコレクターズBOX


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『バベル』 [映画(ヒューマンドラマ)]

(長文ゴメンナサイ)

これまで無名だった日本人女優、菊地凛子のゴールデングローブ賞ノミネートで、最近ますます盛り上がっている話題作。今、最もアカデミー賞に近い作品と言われている。撮影は1年以上にわたり、3大陸を移動しながら行われた。4言語が飛び交う異なる国々の物語が壮大なスケールで描かれる。今世紀に相応しい衝撃のヒューマン・ドラマだ。監督は、メキシコ出身で『アモーレス・ぺロス』『21g』が評価されたアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ。キャストにブラッド・ピット、ケイト・ブランシェット、ガエル・ガルシア・ベルナル、役所広司、そして注目の菊地凛子の豪華メンバー。

始まりは、一発の銃弾だった。
<モロッコ>
険しい山間の村に暮らす2人の兄弟は、父親アブドゥラのライフル銃で腕試しをしていた。弟は、山道を走るガスをめがけて銃弾を放つ・・。

アメリカ人夫婦が観光バスに乗っている。夫はリチャード、妻はスーザン。3人目の子供をなくしたショックから夫婦の間には溝が出来ている。この旅は、2人の絆を取り戻すためのものだった。そのとき、一発の銃弾がスーザンの肩を貫いた・・。

<メキシコ>
メキシコ人乳母のアメリアは、スーザンとリチャードの子供たちを預かっていた。この日は彼女の息子の結婚式。予定では、もう夫婦が帰っているはずだった。仕方なく、甥のサンチャゴが運転する車で子供たちを連れてメキシコへ向かう。 

<日本>
ライフルの書類上の所有者は日本人の会社員ヤスジローで、彼がモロッコにハンティングで訪れた際、ガイドをしてくれたアブドゥラにお礼として譲ったのだった。ヤスジローは、妻の自殺とそれが原因で高校生の娘チエコとのすれ違いが続き、疲れていた。聾唖のチエコは母の死のショックで父親に心を開かず、夜の街で遊ぶ毎日を送っている。

息子たちの愚行が招いた取り返しのつかない事態に、山へ逃げるアブドゥラは息子たち。
救助の遅さに苛立つアメリカ人夫婦。
国境を強行突破した甥に置き去りにされたアメリアと子供たち。
そして、ヤスジローとチエコ。

異なるエピソードが1つのキーワードで繋がる構成は同監督お得意の手法。『21g』にも共通する重たさがあるが、スリルとサスペンスを孕んだエンタテインメント性はこちらの方が若干上。それでも、どちらかというとハリウッドの娯楽大作より、作家性の強い映画と言える。

ブラッド・ピットは恐らくこういうタイプの役は初めて。ケイト・ブランシェットも共に、あまり動きのないシーンで夫婦の危機と絆を表現している。ガエル・ガルシア・ベルナルは甘いマスクを持ちながら確かな演技力が備わる俳優。ときに鬼畜のような狂気性をも垣間見せるキャラクターで強い印象を残すが、本作も然り。菊地凛子が演じたチエコというキャラクターは、いかにもアカデミー会員が喜びそうで、正直それだけで得している部分もあるかもしれない。が、恐らくこの映画で最も難役と言えるチエコを体当たりで演じ、他のキャストに劣らない存在感を示している。リチャードとスーザンの幼い娘を演じるのはダコタ・ファニングの妹エル・ファニング(似てる!)。

大分前、『バベル』というタイトルの映画が作られていることを知ったときはその内容を知らず、旧約聖書のバベルの塔の物語(神が怒り、人々の言葉を通じなくした)をそのまま映画化した歴史絵巻かと思い込んでいた。そうではなく、時代は現代で、言葉や心が通じないことをテーマに人と人との精神的な距離を描いた異なる国のエピソードだった。世界崩壊の危機すら感じさせる今、人類は再びバベルの塔の過ちを繰り返そうとしているのかもしれない。この映画はそんな時代を映し、警告するかのような意味を持っている。・・この映画で描かれる日本はあまりに傷ついているので考えさせられる。因みに、本作に登場するライフルを放った兄弟は、兄が弟を憎むというカインとアベルのエピソードを思わせたが、それは深読みしすぎだろうか?

しかし・・40分前に着いたのに関わらず、座席引換券で前から2列目(後部座席随分空いてました)。手持ちカメラの映像が多い上そんな前だったのでちょっと気分が・・ウッ( ̄x ̄;)

※それぞれのエピソードは1本に繋がるが、登場人物たちが国境を越えて絡むシーンはない。

キーワード;
銃弾、バス、兄弟、国境、夫婦、渋谷、事情聴取、結婚式、砂漠、不法入国、刑事、父娘、孤独

BABEL
2007年メキシコ
監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
出演:ブラッド・ピット、ケイト・ブランシェット、ガエル・ガルシア・ベルナル、役所広司、アドリアナ・バラッザ、菊地凛子、二階堂智他

http://babel.gyao.jp/

4月G.W公開


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『フランシスコの2人の息子』 [映画(ヒューマンドラマ)]

2005年アカデミー賞外国映画賞のブラジル代表に選ばれた本作は、本国でブラジル映画の歴代興行収入の新記録を樹立した。貧しい農家に生まれた9人の子供たちに溢れんばかりの愛情を注ぎ、音楽の楽しさを教えてやる父。父の期待に応え夢を叶えようとする2人の息子の成長を、ブラジルの太陽を思わせるメロディに乗せて描いていく。

ブラジルの田舎町。フランシスコとその妻エレーナは貧しくても仲のいい夫婦で、9人の子供が誕生する。長男ミロズマルと弟のエミヴァルは、音楽好きの父からもらったアコーディオンとギターを片手にバスターミナルで歌い始める。それに目をつけた地元のタレント・エージェントが2人を連れて巡業の旅に出る。「有名になれる」と大喜びした一家だったが、1週間の約束が帰ってきたのは4ヶ月後。エージェントに怒りをぶつけるフランシスコだったが、もう一度チャンスが欲しいと懇願するエージェントに心を打たれ、再び2人の息子を預ける。ツアーは順調で、何もかもがうまく行くように見えたが、ある日突然、思いがけない悲劇が起きてしまう・・・。

”アイツはイカレてる”と近所の人々に言われてしまうほどムチャクチャな父親だが、子供に対する愛情は人一倍。父に教えられ、音楽の素晴らしさを知る息子たちの素直さが可愛いらしい。地元エージェントに連れまわされるエピソードはハラハラし通しで、”突然起きる悲劇”も、まさかの展開。あまりのことに言葉を失う。成長してからも彼らは音楽を続けるが、とにかく苦難と挫折の連続・・世の中はそう甘くない。しかし、自分も兄のようにカッコよくなりたい!と慕うミロズマルの弟や、プロデビューを果たすもサッパリ売れずに悩む息子たちを思い、給料すべてをつぎ込んでリクエストの電話をかけまくる父親の姿を見ていると、どんな苦難も家族の愛情で乗り越えられるのだと信じることが出来る。

ラストのステージ・シーンで、突然俳優の顔が変わった。そう、この物語は実際にブラジルで活躍するトップ・アーティスト”ゼゼ・ジ・カマルゴ&ルッシーアーノ”の兄弟デュオの半生を映画化したものだったのだ。91年に「エ・オ・アモール」の大ヒットでメジャーになった彼らは、これまでリリースしたアルバムの総売り上げが2200万枚を記録するほどの人気スター。ラストで見られるのは本人たちと、彼らを育てた家族の素顔だ。

家族間のトラブルで悲惨な事件が起きてしまう最近の日本。こんな映画を観たら、誰もそんなことは出来ないはずなのに。

Two sons of Francisco
2005年ブラジル
監督:ブレノ・シウヴェイラ
出演:アンジェロ・アントニオ、ジラ・パエス、ダブリオ・モレイラ、マルコス・エンヒケ他

3月、シャンテシネにて公開

ここで「エ・オ・アモール」が挿入されたCDを購入できます。


ビバ!ブラジル!!


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『サン・ジャックへの道』 [映画(ヒューマンドラマ)]


『赤ちゃんに乾杯!』『女はみんな生きている』のコリーヌ・セロー監督待望の最新作。今回彼女がテーマにしたのは”巡礼の旅”。その中で生まれる人と人との繋がりを、ときに温かく、ときにユーモラスに、そしてときに厳しく見つめている。巡礼ブーム真っ盛りの本国フランスではスマッシュ・ヒットを飛ばした本作、待望の日本上陸となる。

聖地サンティアゴ(サン・ジャック)まで1500キロもの道のりを歩くこと―それが遺産相続の条件と知らされた兄弟3人。彼らは歩くことも嫌いだし、兄弟仲も険悪。しかし、遺産の二文字に誘われて見知らぬ同行者たちと巡礼の旅に出る。兄弟喧嘩の連発で前途多難のスタートを切るが、ハイキング気分で参加した女学生たちや母親のためにイスラムのメッカに行くと思い込んでいるアラブ系の少年、頭をスカーフで包んだ美しい女性・・9人の男女がそれぞれの思いを抱えていた・・。

これだけ多くの人間が登場するのに一人一人の個性をきめ細かく描く手腕は、さすがセロー監督。本来、私は台詞が多い映画は苦手なのだけど、この映画はどこか憎めない。漫画のようにドタバタしているのに、大切なところはゆっくりと見せる。時折挟まれる前衛的な夢のシーンも見せ場の一つ。旅の始まりから終わりにかけて、少しずつ登場人物たちのカドが取れて、柔らかくなっていくのが面白い。キツキツの人生からちょっとだけ一休みして、とにかく何でもいいから歩いてみる。そうすると、こんなにもいろんなことが見えてくる。歩くだけ=簡単なことなのに、それがなかなか出来ないでいる現代人に向けた強いメッセージが、この映画には込められている。フランス~スペインにかけての巡礼路で目にする、数々の世界遺産・・カテドラル(大聖堂)や修道院、美しい平原も本作の大事な主役。ヨーロッパが好きな人におススメしたい。私は『女はみんな・・』よりこっちが好きでした。

キーワード;
遺産、アル中、キリスト教、文盲、スカーフ、イスラム、いびき、メッカ、修道院、ウォーキング

Saint Jacques...La Mecque(英題:Start Walking)
2005年フランス
監督:コリーヌ・セロー
出演:ミュリエル・ロバン、アルチュス・パンゲルン、ジャン=ピエール・ダルッサン、パスカル・レジティミュス、マリー・ピュネル他

2007年春、シネスイッチ銀座にて公開


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『ア・グッド・イヤー プロヴァンスからの贈り物』 [映画(ヒューマンドラマ)]

実はこの映画の完成披露試写はヌーボーワインの解禁日に合わせて行われた。試写会場に入ると、甘酸っぱいワインの匂いが立ち込めている。一人一杯、ヌーボーをサービスしてもらって飲みながらの鑑賞・・という贅沢な試写会だった。

『グラディエーター』でアカデミー賞5部門受賞という快挙を成し遂げたリドリー・スコットと同作でオスカー俳優となったラッセル・クロウが再びコンビを組み、今度は全く違う世界の感動作を作り上げた。原作は「南仏プロヴァンスの12ヶ月」で世界中に南仏ブームを巻き起こしたピーター・メイルの最新作。30年来の付き合いだという監督とメイルの友情によって生まれた映画とも言える。

マックスはロンドンの金融界で活躍する凄腕トレーダー。出世街道まっしぐらの彼は、ニュースで報道されるほどの莫大な利益をあげ、成功に酔いしれる。そんな彼のもとに叔父の死の知らせが入り、30年ぶりにプロヴァンスを訪れる。ここに叔父はブドウ園とワイナリーを持っていたのだ。到着早々不味いワインを飲んだマックスは即、遺産の売却を決意するが、この地で運命の女性と出会ってしまう・・。

言うまでもなく、この映画のもう一つの見どころはプロヴァンスの美しい景色・・と言いたいのだが、マックスの行動範囲がロンドンとプロヴァンスの往復で、プロヴァンスでもあまり広範囲に動かない。せいぜい、時々登場する街の様子とブドウ園ぐらい。どちらかというと”プロヴァンスでの生活”を紹介するようなシーンが多い。窓辺に置かれたラベンダーのポプリ(?)や、部屋の床を這うサソリ、テニス、屋外での食事、そしてワイン作り・・。その場の新鮮な空気が伝わってくるよう。派手な見せ場はないが、マックスが出会う人々の個性が面白い。長年、畑の面倒を見てきた夫婦や、叔父の娘だと名乗る女性=隠し子の登場、そしてマックスの決心を左右する魅力的な女性、ファニー。

一時期、暴れん坊のレッテルを貼られていたラッセル・クロウがイメージを一新するようなキャラクターを自然体で演じているのが話題。ファニーを演じるのは『世界でいちばん不運で幸せな私』(嫌いだった・・この映画)のマリオン・コティヤール。回想シーンに登場して名言を残すヘンリー叔父さんに名優アルバート・フィニー。少年時代のマックスは『チャーリーとチョコレート工場』の名子役フレディ・ハイモア。また、ヘンリーの隠し子であるアメリカ女性にオーストラリア出身の期待の大型新人アビー・コーニッシュが扮している(彼女、シャラポワそっくり・・)。

「ここは僕の人生に向かない」
「違うわ、あなたの人生がここに向かないのよ」
の会話が印象的。

キーワード;
携帯電話、プール、チェス、サソリ、テニスコート、ビストロ、ワイン

A Good Year
2006年アメリカ
監督:リドリー・スコット
出演:ラッセル・クロウ、マリオン・コティヤール、アルバート・フィニー、フレディ・ハイモア、アビー・コーニッシュ他

2007年春、有楽町スバル他にて公開

※先ごろ、この映画の公開無期延期の知らせを受け取りました。したがって、公開予定は今のところありません。ご了承ください。


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『守護神』 [映画(ヒューマンドラマ)]

『海猿』がレスキュー・スイマーの話だったが、これもそう。人命救助のため自ら危険に飛び込む勇気、レスキュー・スイマーになるための過酷な訓練、そしてトラウマを抱えた伝説的スイマーの葛藤や、彼と強い絆で結ばれる若き天災スイマーの心のうちなど、盛り沢山の内容で描ききった感動のアクション大作だ。

人命救助の任務を遂行するアメリカ沿岸警備隊の伝説的スイマー、ベン。彼は任務中に相棒を失い、心と身体に深い傷を負っていた。彼は現場を退き、隊員を育成するスクールに教官として赴任。そこで出会った訓練生が元高校の水泳チャンプ、ジェイクだ。才能に恵まれながらも常に苛立ち、時には暴走してしまう彼にベンは自分と同じ心の傷を見出だす。ベンとジェイクの絆は父子のように深く強いものになっていく。そして難関を突破したジェイクと、現場復帰を果たしたベンは、ある任務で思いがけない運命と向き合うことになる・・・。

最近公開された類似系映画で言えば、ホアキン・フェニックスとジョン・トラボルタ主演の『炎のメモリアル』が近い。死と隣り合わせの恐怖と男の絆。これは映画をヒットさせる要素としてかなり強力。ただ、こういう映画によくある展開や”死にそうな人物”が分かりやすいというのも特徴。本作も例外ではない。

でも、キャラクターの心情が細やかに表現されているし、ベンを演じるケビン・コスナーもお得意の”孤高の男”ぶりを発揮している。ジェイクはアシュトン・カッチャー。これだけの大作でこれだけの大役も恐らく初めての彼だが、コメディ映画でアホっぽい役柄もこなしながら、今回は危なげな若者像を熱演。演技力に磨きがかかっている。最後はお約束どおり涙のラスト&美談で幕を閉じる。ありがちと分かっていても心打たれてしまう”映画らしい映画”。それにしても驚くのは、役者の体力。想像を絶するハードな撮影。若いアシュトン・カッチャーはまだしも、すっかり中年になったケビン・コスナーの頑張りには驚くばかり。しかし、これが映画でなく本物も存在するのだと思うと・・ほんとに凄い。監督は『逃亡者』『コラテラル・ダメージ』のアンドリュー・デイビス。

キーワード;
妻、水泳、事故、賭け、海、救助隊

THE GUARDIAN
2006年アメリカ
監督:アンドリュー・デイビス
出演:ケビン・コスナー、アシュトン・カッチャー、二ール・マクドノー、メリッサ・サージミラー他

2007年2月公開


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