So-net無料ブログ作成
映画(文学・文芸) ブログトップ

『プレステージ』 [映画(文学・文芸)]

2人の天才マジシャンが火花を散らし、互いに翻弄されるミステリー―世界幻想文学大賞受賞のベストセラー「奇術師」(クリストファー・プリースト著)を映画化した話題作。
監督&脚本に『メメント』のクリストファー・ノーラン、キャストにヒュー・ジャックマンとクリスチャン・ベール、スカーレット・ヨハンソンを迎え、最高に魅力的な作品が誕生した。撮影賞と美術賞はアカデミー賞にもノミネートされている。

19世紀のロンドン。名声をかけ、互いに張り合う2人のマジシャン、アンジャーとボーデン。ある日、ショーの最中にアンジャーが水槽からの脱出に失敗し、ボーデンの目の前で溺死する事件が起きる。ボーデンは殺人罪で逮捕され、死刑判決を受ける。マジックの考案者でアンジャーの協力者だったカッターは2人の確執が生まれた過去を思い返す。一方、ボーデンはアンジャーの日記を手に入れるが、そこには彼が思いもしなかった秘密が書かれていた。ボーデンは悟る。自分が今置かれた状況・・これはアンジャーが仕掛けた史上最大のイリュージョンではないのか・・?

「マジック」「トリック」という言葉に騙されて、VFXを駆使したエンタテインメント系の娯楽作品と思っているとちょっと肩すかしを喰う。文学作品の映画化らしく、非常に落ち着きがあり、視覚的な楽しさより脚本の面白さで観る映画だ。観客が騙されるトリックは、アンジャーとボーデンが舞台の上で繰り広げる「水槽脱出」や「瞬間移動」ではなく、もっと大きなテーマであることが、最後に分かる(その驚きは、本作の監修デヴィッド・カッパーフィールドのトリックを見るような感覚に近い・・あのマジシャン胡散臭いがw)。

単純にマジックのタネや仕掛けについて語るだけの物語とは違って、ここでは2人のマジシャンの人生が描かれる。真面目で純粋にマジックの可能性を追求するアンジャーと、野心に燃え人間臭いボーデン。対照的な性格の2人を見ているだけで興味深いが、彼らの間に確執が生まれた背景にはある事件がきっかけとなっていて、「復讐」も本作のキーワードの一つである。
「騙す」とか「正直」という概念がストーリーの中で象徴的に使われ、愛する人との信頼関係にも大きく関わってくる。

ヒュー・ジャックマンはちょっと好きな俳優。一見、体育会系に見えるけどこういう「貴公子」のようなファッションがよく似合う上品さを持ち合わせている。クリスチャン・ベールは『バットマン ビギンズ』以来?2人の間で揺れる魅力的な助手を演じるスカーレット・ヨハンソンも相変わらずセクシー
オーラがムンムン(笑)。脇を固めるベテラン俳優陣がまたよく、カッター役のマイケル・ケインや、デヴィッド・ボウイ(老けたね・・分からなかった)にも注目。

あまり多くを語ると映画を観る楽しみが減るのでこの辺で。とにかく130分飽きることがなく、一気に見せる(実際にはあり得ない結果なのでズルイと言えばズルイんだけど)。
そしてラストの驚愕。この展開を予測するなら、途中に出てくる重要な場面を見逃してはいけない。
騙されていたのは私たち?いやはや、本当によく出来た脚本でした。

因みに中国語タイトルは『死亡魔法』・・怖っ!

キーワード;
ロープ、水槽、妻、小鳥、テスラ、替え玉、シルクハット、日記

THE PRESTIGE
2006年アメリカ
監督:クリストファー・ノーラン
出演:ヒュー・ジャックマン、クリスチャン・ベール、スカーレット・ヨハンソン、マイケル・ケイン、 デヴィッド・ボウイ他

6月上旬全国公開


nice!(0)  トラックバック(1) 
共通テーマ:映画

『カサノバ』 [映画(文学・文芸)]


『ショコラ』のラッセ・ハルストレム監督・・とよく形容されるが、私にとっては『マイライフ・アズ・ア・ドッグ』のハルストレム監督。あの作品が大好きだっただけに、ハリウッドに活動拠点を移してからの彼の映画には「特に彼じゃなければ撮れない映画ではないのに・・」という印象を拭えない。勿論、それぞれ秀作。とてもいいんだけれど、スウェーデン時代の素朴な作風とはやっぱり違う。

本作はそんな彼の新境地(必要ない・・涙)と言えるコスチュームプレイ。キンバリー・シミによる脚本に惚れこんだ製作者レスリー・ホレランがハルストレム監督に依頼したというから、監督自身の発案ではない。内容は、言わずと知れたプレイボーイ、カサノバの物語だ。演じるのは『ブロークバック・マウンテン』でオスカー候補になったヒース・レジャー。恋の相手フランチェスカにジュード・ロウと一時期婚約して世間を騒がせたシエナ・ミラー。旬の若手の競演とジェレミー・アイアンズや監督婦人のレナ・オリンといったベテランが脇を支える。

18世紀のヴェネチア。街はカサノバという男の不埒な振る舞いの噂で持ちきりだった。今日も修道女との情事を知られ、役人に追われるカサノバ。彼が逃げ込んだ講堂では、男装の女性が、女性心理に詳しい作家グアルディの言葉を引用して女性の解放を叫んでいた。その場で逮捕されるカサノバ。しかし、総督のとりなしによって放免となり、後ろ盾を必要とするために良家の子女との結婚を決意。早速婚約するが、彼女に思いを寄せる青年ジョバンニに決闘を申し込まれる。決闘当日、ジョバンニの扮装をして剣を抜いたのは実は姉のフランチェスカ。彼女こそ、あの講堂で男装をしていた女性だった・・。

この出会いでカサノバは、自分に媚びないフランチェスカに急速に惹かれていく。既に婚約をしているのでその事実を隠し、また自分がカサノバであることは伏せてフランチェスカに近づく。彼は他でも自分に都合よく立ち動くために既に存在する名を語る。フランチェスカはフランチェスカで、彼女もグアルディという偽名を使って本を書いていたのだった。

物語の前半は恋のドタバタ、嘘を突き通すための彼の慌てぶりを描き、後半は詐欺罪で絶体絶命の危機に陥るカサノバとフランチェスカの運命を描いてる。前半中の前半はちょっと退屈だが、半分を過ぎた頃からテンポがよくなり、ラストは大団円&どんでん返し。個人的に感じたことは、主役の二人は意外と淡白で、脇役の方が印象に残ること。特に第二のカサノバを名乗ることになるジョバンニ(チャーリー・コックス)や、フランチェスカの婚約者で思いがけない運命を辿ることになるパプリッツィオ(オリヴァー・プラット)が良かったと思う。ジェレミー・アイアンズの冷酷な司教もなかなか。
実際にロケを敢行したヴェネチアの街並みや、アカデミー賞受賞者のジェニー・ピーヴァンによる豪華な衣装も見所。決してハルスとレム監督の本領が発揮された作品ではないと思うが、それなりに楽しめるように作れるのはやっぱりスゴイ。

CASANOVA
2005年アメリカ
監督:ラッセ・ハルストレム
出演:ヒース・レジャー、シエナ・ミラー、ジェレミー・アイアンズ、オリヴァー・プラット、レナ・オリン他

6月銀座テアトルシネマ他にて公開


nice!(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

『ヴェニスの商人』 [映画(文学・文芸)]

得意のシェイクスピアです(大学で専攻でした)。
今夜は完成披露試写。
意外にも、この有名な戯曲が英語圏で映画化されたのは初めてらしい。

アル・パチーノがユダヤ人の金貸しシャイロック・・はまり過ぎ・・(と観る前から想像していた)。例のようにオーバーアクションでくど~い演技を披露するんだろうなと思っていたが、彼と対立するアントーニオ役でジェレミー・アイアンズが出ていたので、バランスがとれ、意外にアルのくどさは気にならなかった。

アントーニオの若き親友、バッサーニオにジョゼフ・ファインズ(やっぱり?!)。
バッサーニオと結婚する聡明な女性ポーシャは、新人の(舞台経験は多いらしい)リン・コリンズ。

このリン・コリンズがなかなか良い。
映画が始まる前、プレスの写真を見る限りでは「あまり可愛くないなあ・・老けて見える」なんて思っていたが、スクリーンで見ると、なんとまあ当時のイタリアの絵画から抜け出たよう。そもそも、ポーシャという女性は、女相続人という裕福な身の上で、容姿端麗、頭脳明晰なキャラクター。
クライマックスの裁判の場面では彼女が男装して法学博士として登場。アントーニオが自分の肉一ポンドと引き換えにシャイロックから金を借りたものの、返済できなくなり絶体絶命の窮地に陥る。
そこでポーシャが言い放った一言・・。
リン・コリンズはまさに、クールで知的な彼女のイメージにピッタリだった。しかも男装が似合うこと(『恋に落ちたシェイクスピア』のグウィネスは似合わなかったが)。

アル・パチーノのシャイロックは『リチャード三世』のときより抑え気味で何故か一安心(笑)。
大体、このシャイロックという人物、悪役に納まっているが、よくよく考えれば何も悪いことはしていない。ただ、性格・根性ひん曲がりのために全てを失ってしまうだけ。
妻には先立たれ、娘はキリスト教徒の男と駆け落ち・・。
まあ、気の毒ではあるんである。
この複雑なキャラをアルは哀愁たっぷりに表現。
誰の心にもシャイロックが住んでいることを実感させる。

しかし、改めて、つくづくよく出来た物語だわ。
シェイクスピアが一番ノっている時期に書かれたものだから当然。憎悪、復讐、恋愛、宗教、喜劇、悲劇・・・色々な要素が詰まっている。それなのにまとまっている。法と言う名の屁理屈を皮肉っているようにも感じられる。
シェイクスピア訳者の小田島雄志氏の言うように、登場人物の誰を主役にしてもストーリーになるのも魅力だ。

難しそう、カタイ、なんて言わずに是非観て欲しい!
正統派のシェイクスピア劇がどんなに面白いかが分かるから。

キーワード
ユダヤ教 キリスト教 借金 血と肉 指輪 箱 


nice!(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画
映画(文学・文芸) ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。

×

この広告は1年以上新しい記事の更新がないブログに表示されております。