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『ストリングス』 [映画(アート)]

2004年にオリジナル版がデンマークで公開されたマリオネットたちの一大叙情詩。その芸術性の高さとドラマティックな物語に魅了された日本のクリエイターたちが力を結集、新たに誕生したのが日本版『ストリングス』だ。監督は『新世紀エヴァンゲリオン』シリーズの庵野秀明。脚色は阿佐ヶ谷スパイダース主催で、演出家、俳優として活躍する長塚圭史。声のキャストには草彅剛、中谷美紀、優香、香取慎吾、劇団ひとり、伊武雅刀、戸田恵子、市村正親ら個性派やベテランが揃った。

何百年もの間争いが続くへバロン王国。ある嵐の夜、年老いた国王が自害する。王位を継ぐのは息子のハル王子だが、その座を狙う王の弟が、王の死を敵対する一族ゼリスの長によるものと見せかける。父の敵討ちのため、可愛い妹と別れて旅に出るハル王子。森を抜け、雪原を歩き、砂漠を彷徨い、魅力的な女戦士に出会う。しかし、旅先で王子は、そして彼の帰りを待つ妹は、今まで知らなかった父王の秘密と過去の過ちを知ることになる。王子は憎しみの連鎖を断ち切り、故郷の平和を切り開くため立ち上がるが、妹には残酷な運命が待ち受けていた・・。

人形たちは、物語の中においても人間ではなく人形でしかない。彼らを操る10数本もの糸は天上へ伸びており、運命の相手と繋がっているという。そして、彼らの生命が終わるときは、糸が切れるときなのだ(冒頭で国王が自害するシーンでは自ら刀で糸を切る)。

・・という設定に無理があるのではないのかなーと最初は思っていたが、観ていると全くそんなことはなく、むしろその設定に大きな意味があることが理解できた。
総計115体ものデンマーク製(多分)のマリオネットが登場するが、彼らの細やかな動きや表情がとにかく素晴らしい。
優雅に踊ったり、闘いなどの激しい動きもこなし、まるで生きているような動きに驚きと感嘆の連続だ。
ストーリーは宮崎駿の冒険映画のような感じもする。
こういう映画には滅多に出会えないので、アート系映画が好きな人には強くおススメしたい。チェコの人形劇もビックリだ。

STRINGS
監督:庵野秀明
声の出演:草彅剛、中谷美紀、優香、香取慎吾、劇団ひとり、小林克也、伊武雅刀、戸田恵子、市村正親他

4月28日よりTOHOシネマズ六本木ヒルズ他にて公開


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『ルナシー』 [映画(アート)]

私の大好きなチェコの映像作家で、世界中のクリエーターアーティストたちから絶大な支持を集めているヤン・シュヴァンクマイエルの待望の新作。シュールレアリストと評される彼の作品は、不条理でブラックな笑いに満ちている。製作頻度が少ないのが残念だが、粘土や静物などを使ってコマ撮りすることが多いため、結構撮影が大変なのではと思われる。

ストーリーが細かいので、整理してみた。

1・母親の葬儀を終えて帰路につく途中の青年ジャン。

2・立ち寄った宿で、彼は精神病院の職員に無理やり拘束服を着せられる悪夢にうなされる。

3.この宿で彼は一人の公爵に出会い彼の城に招待されるが、そこでは公爵を主人としたSM乱交が繰り広げられている。神を冒涜する言葉を叫ぶ公爵。その中には強制的に参加させられている若い娘がいた。

4・翌朝、これ以上世話になれないと申し出るジャンの目の前で、発作を起こして意識を失う公爵。

5・ジャンは公爵が死んだと思い、世話人のドミニクの指示通りに公爵を墓地に埋める。

6・しかし、公爵はいつの間にか棺桶から出てきて普段通りに食事を楽しんでいる。医者の誤診で生きたまま埋められ死んだ母の苦しみと同じ恐怖を味わうようになった彼は、克服するためのセラピーとしてしばしばこのようなことを行っていると言う。そして、ジャンに実際に精神病院に入院して恐怖を克服せよと勧める。

7・公爵の友人が経営する精神病院を訪れたジャンは、院長は城でSMにふけっていた男で、しかも彼の助手を務める女性があのときの娘だったことを知る。彼女によると、本物の院長は地下に監禁されていて、ここでは倒錯的な性のゲームが繰り広げられているだけらしい。

8・ジャンは本物の院長と職員たちを助け出すことに成功。公爵や偽の院長は拘束される。

9・本物の院長は、「肉体が精神より強くなれば心の病にかかってしまうので計画的に体罰を加えて肉体を弱らせていく必要がある」と説く。そのためには13段階の治療法があるという。そして、公爵に最も厳しい13段階目の治療を施す。そして、ジャックもまた、第一の治療を開始すると告げられ・・・・・。

途中、シュヴァンクマイエルのお得意のコマ撮り映像が何度も挿入される。肉片や舌や脳髄が生き物のように歩き回ったり、家具や小物に侵入する様子だ。グロテスクなのにどこか可愛らしく、ファンなら”これ、これ。これが見たいんだよね”と思わせる映像。初めて見る人は好奇心をそそられること間違いなし。シュヴァンクマイエルは、この作品で「人間の自由とは、完全な自由主義という理想の上にのみ存在する」「必要性が認められた上で与えられる自由は無意味」と説いている。本作は、宗教的な意味も含め哲学的思想のもとに作られており、抑圧された歴史を持つチェコという国に生まれた彼の集大成とも言える。欲を言えば台詞を少なくして欲しかったが、設定がしっかりしているので仕方ないのかも。シュヴァンクマイエル本人が「ホラー」と評すように、この物語は怖い。まさにブラック・ファンタジーと呼ぶに相応しいシュヴァンクマイエル・ワールド、ここにあり!

キーワード;拘束服、脳髄、SM、肉片、精神病院、「民衆を率いる自由の女神」、舌、監禁、眼球、

Lunacy
2005年チェコ
監督:ヤン・シュヴァンクマイエル

11月、K’s cinema、シアター・イメージフォーラムほか全国にて順次公開公開予定

(C)Athanor

こちらは、去年のシュヴァンクマイエル展の日記。
http://blog.so-net.ne.jp/hanamomimo/2005-09-11-5

おススメDVD、本↓

ヤン・シュヴァンクマイエル 悦楽共犯者

ヤン・シュヴァンクマイエル 「ドン・ファン」その他の短編


ファウスト


ヤン・シュヴァンクマイエル 短篇集


ヤン・シュヴァンクマイエル「ジャバウォッキー」その他の短編


オールアバウト シュヴァンクマイエル


シュヴァンクマイエルの世界


シュヴァンクマイエルの博物館―触覚芸術・オブジェ・コラージュ集


不思議の国のアリス


鏡の国のアリス


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チェコアニメ映画祭 [映画(アート)]

12本観たけど、こういうヨーロッパ短編アニメが大好きな私には、どれも甲乙つけがたく、それぞれ本当に楽しめました。

コンピュータなど使っていないからこそ、目を奪われる驚きの映像ばかり!デッサン的なイラストが目まぐるしく動くものや、人形を使ったもの、実写とアニメをミックスしたコラージュ的なもの・・ブラックだったり、シュールだったり、ただただ可愛らしかったり、とにかく、どれにもチェコらしい芸術が凝縮されています。

今回観たのは(順不同)
カフェ
『エンド・オブ・ザ・キューブ
『ある粉屋の話』
『反復』
『共存』
『わらべ歌』
『カバのティリーネック』
『タフなビリーとジャイアントモスキート
『郵便屋さんの話』
『シューティング・ギャラリー』
『りんごのお姫様』
『クジラのラジク』

『カフェ』はカフェにいる客を見て様々な想像を巡らした、大人のジョークが効いた作品(ちょっとエロ)。
『ある粉屋の話』は、私が大好きな映像作家、シュヴァンクマイエルの奥さんによるもの(残念ながら昨年死去)で、これは今日観た作品中最もブラックな童話だった。
『共存』は結婚生活をテーマにした物語で、レースなどを使った凝ったアニメーション。
『カバのティリーネック』はファンタジックなストーリーで色彩が美しい。
『郵便屋さんの話』は15分と長めなので、少しストーリーがドラマチック。ラストは感動。

個人的に特に気に入ったのは『シューティング・ギャラリー』と『りんごのお姫様』。共に人形アニメでテイストが似ているなと思ったら両方シュチェパーネク監督だった。あまり可愛すぎず、グロテスクでシュールな趣味が入ってるものを好む私にはドンピシャ!でした。
『シューティング・・』はスターリン風の人物が登場する風刺的作品。『りんご・・』は民話を基にしており、お姫様に成りすました悪い魔女が最後は愛の力で滅び、お姫様は無事に王子様と結婚できる話。 

まだまだ、この他にも沢山上映予定あり。これだけ一気に観られる機会はそうそうないので、好きな人は是非足を運んで。


4月、新宿K's cinema、吉祥寺バウスシアターにて公開

関連本、DVD↓

チェコアニメ傑作選1


チェコアニメ傑作選2


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『死者の書』 [映画(アート)]

ホラーじゃありませんよ(笑)。人形作家の巨匠・川本喜八郎の人形アニメーションです。『道成寺』『火宅』などの名作を発表してきたが、構想30年という時を経て完成に至った本作は川本の集大成と言える。原作は折口信夫の「死者の書」。

8世紀半ばの奈良。美しく聡明な藤原南家の姫・郎女は、千部目の写経の最後の一文字を書き終えた後、導かれるように激しい雨の中を當麻寺へと向かう。姫は辿り着いた寺で媼(おうな)から、50年前に処刑された大津皇子の話を聞かされる。皇子は死の直前に一目見た女性への執心から亡霊となって彷徨っているが、姫をその女性と見たのだ。肌もあらわで寒々とした皇子のために衣を作ろうと布を織り始める・・。

台詞はあるが、会話による表現は抑えられ、ナレーションが殆どを占める。謡を用いるなどして能のような演出も見られ、とにかく厳かでいて美しく、幻想的なシーンで彩られている。そして人形の表情の豊かなこと。1時間、飽きさせることがない。
声の出演は郎女役の宮沢りえをはじめ、皇子に観世銕之丞、榎木孝明、江守徹、黒柳徹子、三田昇、ナレーションに岸田今日子ら堂々たる顔ぶれが揃っている。


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『フリークス(デジタルリマスター版)』 [映画(アート)]

差別にも繋がりかねないので、ちょっと勇気が要るけど、今日の試写の感想とともに私見である「妖精伝説」について述べてみたい。

以前から私は、フリークス(奇形・異形)と呼ばれる人たちに興味があって、関連本を読んだり映画を観ていたりした。映画は、今日試写で観た『フリークス』である。
本作は、1932年に製作されたトッド・ブラウングの名作で、本物の異形の人たちがサーカス団の芸人として多数出演している。両手足がなく、胴体だけの男性や、美人のシャム双生児体重が30キロに満たない異常に痩せた男性、髭の生えた女性、総勢10名ほど。しかし、彼らは全員、純粋な心を持っている。

容姿端麗の空中ブランコ乗りの女性クレオパトラ(健常者)が、同じサーカス団の小人の男性ハンスと金目当てで結婚する。やがてハンスは、クレオパトラとその恋人に毒殺されそうになっていることに気づき、仲間と一緒に彼女を追い詰めて、彼女を「本物の怪物」にしてしまう。

私がこういう人たちに興味を持つ理由は医学的なことからではなく、童話の世界に通じている。
妖精と聞いて普通想像するのは、蝶のような羽を持ち、手の平大で人間に似た姿の甘く優しいイメージだ。
でも、例えばシェイクスピアの「真夏の夜の夢」の妖精パック。女性や子供によって演じられることの多いこの役が、本場イギリスでは、大抵、成人男性が演じる。そもそも、パックという妖精は別名「ゴブリン」で、別名「ホブゴブリン」。これは「妖怪」の意味なのだ。
私は、こうした童話や物語の中に登場する妖精たちが、本当に存在したと信じている。
それに最も近いのが、このフリークスと呼ばれる人たちだったのではないかと思う。
「白雪姫」では、7人の小人が登場するが、彼らは子供ではなく、老人で、採掘作業をして生計を立てている。小人は異形の人々の中には比較的多く見られる。しかし、中世では奇形が生まれるということは不吉であり、悪魔の象徴とされていた。生後すぐに処分されることが多かったようだが、そうでない場合は、森の奥深くに逃げ、人目を避けるように暮らしていたのではないかと思う。村の者がたまたま彼らを見かけて「妖精が居た」「怪物がいる」などと騒いだ結果、伝説が生まれたということは容易に考えられる。

映画『フリークス』も公開当時はスキャンダラスな作品として論議を呼び、一時は公開禁止にもなったらしいが、差別をしているのは一体どちらなのか(公開禁止という行為に対して)、考えさせられる。
中世ヨーロッパでは奇形の誕生は悪魔の仕業と恐れられていた一方で、宮廷お抱えの道化師として名を馳せ、当時の記録として写真も残っている。彼らは人々に親しまれ、誇りを持って生きていたのである。

この映画に登場する「フリークス」たちもそうである。彼らは劇中ではサーカス団の芸人だけれど、実生活でも役者をしていた人が多く出演している。「差別だ」という理由から、逆に彼らの活動の場を奪ってしまった人たちが世の中にいることを忘れたくない。
今まで見たことがない姿だというだけで阻害されてきたフリークスたち。妖精が実在したなら、人目の届かない寂しい場所でひっそりと暮らしていたであろう彼らのことを私は思う。存在そのものが神秘的な謎を問いかけてくる。彼らを愛する理由は、まずそこにある。
そして、映画『フリークス』で描かれるのは「真の怪物とは何か」ということ。非常にショッキングな結末を迎えるこの映画、一度観ておくべき。


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『ロッテ・ライニガーの世界』 [映画(アート)]

珍しいドイツの影絵アニメーション
ロッテ・ライニガーという女流映像作家の手によるもので、特に『アクメッド王子の冒険』(1926)は世界でも最初期の長編アニメである。多くのアニメ作家に大きな影響を与えた優れた作品であるにもかかわらず上映の機会が殆どなく、今回の公開は貴重とも言える。

1920年~50年代に製作された、長編1本を含む短編を上映。
今日の試写は、以下の3本。

『パパゲーノ』
こちらは9分の短編。その名の通り、モーツァルトの歌劇『魔笛』モチーフにしている。パパゲーノとパパゲーナが森で戯れていると大蛇がやってくる。パパゲーノは大蛇を退治する。

カルメン
これも9分。これもオペラで有名なカルメンをモチーフにしたもの。自由奔放に生きるカルメンは騎竜兵ドン・ホセを誘惑。しかし、その後彼女は闘牛士のエスカミーリョに心変わり。闘牛場でカルメンを見つけたホセは彼女を殺そうと追いかけるが・・。

『アクメッド王子の冒険』
これは65分の長編。アラビアンナイトをベースにしたエキゾチックな映像。

レースのようなシルエットはどれも本当に美しく、手が込んでいる。かなり大変な作業だったのではないかと思う。
ただ、短編を2本くらいか、長編1本を観るのが丁度いいかも。あまり立て続けに観ると飽きてくるのも否めない。
『カルメン』・・ラストがオペラと全然違ってて驚いた・・。
個人的に気に入ったのは『パパゲーノ』。鳥のシルエットが綺麗。
一般公開時には他のプログラム
『眠れる森の美女』『長靴をはいた猫』『ガラテア』も上映。こちらも観たい。

因みに、今回の配給会社が我が家のすぐ近くの住所。何処なんだろう・・


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